オウンドメディアリクルーティングとは、自社の魅力を発信し、優秀な人材を採用することです。例えば、一般的な求人メディアはコストがかかります。また掲載期間も限定されます。一方オウンドメディアリクルーティングは、内容や掲載期間に制限がありません。継続的な情報発信で、自社に合う人材を採用できる確率が高くなります。
また近年は、人手不足倒産も発生しています。2023年度の東京商工リサーチの調査では、人手不足関連倒産は過去最多の191件にのぼっています。つまり、日本の経済を支える中小企業に一番必要とされています。
本記事では、オウンドメディアリクルーティングについて解説します。
Contents
1. オウンドメディアリクルーティングとは
1-1. オウンドメディアとは
オウンドメディア(英:Owned Media)とは、企業が自社で保有するメディアのことです。広義ではパンフレットなども含みますが、一般的にはWebサイトやブログを指します。具体的には、企業が運営するWebサイト、X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、YouTubeなどが挙げられます。例えば自社で情報発信しSEO対策することで、検索流入を獲得します。その結果、認知度の向上や売上拡大などを実現することができます。
1-2. オウンドメディアリクルーティングとは
オウンドメディアを活用した採用活動のことを、オウンドメディアリクルーティングといいます。例えば公式Webサイトに採用コーナーを設置したり、独自ドメインで採用サイトを立ち上げる事例もあります。またFacebookの企業用ビジネスページで、求人情報を発信する事例もあります。掲載内容や掲載期間の制限のない自社メディアで継続的に情報発信することで、人材採用のミスマッチを防ぐことができます。また従来の求人サイトと連動することで、シナジー効果を生むこともできます。
2. オウンドメディアリクルーティングの背景
2-1. 優秀な人材採用の激化
日本国内において、優秀な人材採用のハードルがどんどん上がっています。まず応募者と採用側の全体の需給のバランスですが、売り手市場が続いています。次に採用ルートの多様化も進行しています。例えば、「インターンシップ」「イベント+LINE登録」「Facebook」など従来の求人サイト以外の選択肢が増えています。そのため、多様なチャネルの終着点としてオウンドメディアリクルーティングの重要性が高まっているのです。
2-2. 配属ガチャを防ぐ
新卒で入社した4人に1人が、「配属が希望と異なる」という理由で入社辞退もしくは早期退職を検討しています(※2024年卒の大学生65人に対するキャリアチケットの調査)。採用企業側としては、採用コストをかけて採用した人材が退職した場合、大きな損失が発生します。また現場のモチベーションが下がり、最悪他の社員の退職を誘発するリスクもあります。そのような配属ガチャを防ぐために、現場の仕事内容を詳しく情報発信し、本人の希望に合う配属を実現することが防止につながります。
3. オウンドメディアリクルーティングのメリット
3-1. ミスマッチを防ぎ、現場が求める人材を採用できる
オウンドメディアは自社メディアですので、字数や掲載期間の制限はありません。むしろコンテンツを積み上げていくことで、指数関数的に情報発信力は向上していきます。そのメカニズムを活用し、求める人物像が知りたい情報を発信していきます。そうすることで、人材採用の精度が高まっていきます。例えば競争の激しいITエンジニアの採用の場合、社内プロジェクトや開発環境、開発ツールといった情報はとても大切です。また入社後、どんな先端技術に触れることができるのかといったキャリアアップの視点も重要です。
3-2. 採用市場での自社の認知度を上げることができる
例えば御社が、山梨県の半導体メーカーとしましょう。欲しいターゲット像は、電通大や東京電機大、芝浦工業大などの電気・電子系学生とします。そういった学生の中には、Uターン就職したい人間が一定数必ずいます。その場合、重要なキーワードがあります。それは、「山梨 半導体メーカー」「山梨 エレクトロニクス企業」といった「地名+業種」キーワードです。このようなキーワードをSEO施工したコンテンツを積み上げていきます。そうすることで、着実にUターン就職したい学生の応募数を増やすことができます。このパターンで様々なキーワードをSEO施工し、自社の認知度を上げることができます。
3-3. 転職潜在層にもリーチできる
求人サイトの閲覧者の多くは、新卒及び転職の求職者です。しかし、オウンドメディアリクルーティングはそういった枠は関係なく、集客することができます。特に近年は、入社直後から転職エージェントに登録する人が増えています。つまり、優秀な人材ほど常に自分自身がキャリアアップできる情報を収集しています。そういった転職潜在層に検索エンジン経由でリーチし、母集団を形成できるのは大きな魅力です。その場合、ターゲットが自己成長できる具体性の高いコンテンツが必要不可欠です。
4. オウンドメディアリクルーティングのデメリット
4-1. 中長期の視点が求められる
オウンドメディアは性質上、成果が出るまでに時間がかかります。その理由は、コンテンツがGoogleの検索エンジンに認識してもらう必要があるからです。また上位に表示させるには、さらに時間がかかります。そのためオウンドメディアリクルーティングを実行するためには、経営インフラもしくは採用活動インフラと捉え、“育てる”中長期視点が大切です。ただしWebマーケティングは、全て数字で現状把握ができます。ページビューや訪問者数のトレンドを作る成功パターンを習得できれば、軌道に乗せることができます。
4-2. 運用コストがかかる
オウンドメディアは、Web制作費、コンテンツ制作費、運用維持費などのコストがかかります。このコストは、プロジェクトの規模によって変わってきます。例えばあるITエンジニア企業では、人材紹介企業に支払う紹介費用を採算ラインに設定していました。例えば、年収600万円の人材を年間5人採用しているとしましょう。その場合、3000万円✕30%=900万円の紹介料がかかります。つまり、年間900万円かけて5人採用できればとんとんなわけです。実際には、最初は赤字で、2~3年後から大きくパフォーマンスが上がるのがよくあるパターンです。プロジェクトの損益分岐を意識しながら運用するのも、重要なポイントです。
5. オウンドメディアリクルーティングのコンテンツ例
5-1. 職種別求人情報
オウンドメディアリクルーティングの一番重要なのは、職種別の求人情報です。営業や開発、経理や総務など、職種別の待遇をできるだけ細かく掲載しましょう。求職者が重視する項目は、「給与」「勤務地」「休日・残業時間」「将来性・安定性」です。また選考時に重視するポイントとして、「質問に丁寧に答えてくれる」というものがあります。そのため就労条件だけでなく、それに関するFAQ(よくある質問)も大事なコンテンツです。
5-2. 社員インタビュー
オウンドメディアリクルーティングで、主役になるのがこの社員インタビューです。「入社動機」や「現在の仕事内容」「オフの過ごし方」など様々な切り口で、自社の魅力を訴求できます。ここで大切なのが、求職者の検索キーワードと社員が語るトークの整合性です。実はインターネット上のコンテンツは、検索ボリュームのあるキーワードを入れるかどうかで、集客力が全く変わります。また関連キーワードも充実させることで、ユーザーの満足度も高まります。例えば、ターゲットが検索するボリュームのあるキーワードを調査します。次に、そのキーワードと社員の言いたいことと重なる部分を設計します。そして、インタビュー&文章作成を行います。
5-3. 製品・サービスの開発ストーリー
求職者は、自分が応募する企業の将来性を精査します。例えば求人サイトや四季報等で、資本金や売上げ、経常利益や従業員数などをチェックします。それらだけでなく、人気があるのが製品・サービスの開発ストーリーです。「どんなニーズで生まれたのか」や「どのような苦労があったのか」を求職者は知りたいのです。その理由はストーリーを通じて、事実経緯だけでなく、現場の社員の人柄や価値観、意思決定プロセスなどが浮かび上がってくるからです。自動車メーカーなどは、ブランド車のチーフディレクターをよく登場させます。それは、技術者に大きなアピール効果があるからと思われます。
6. まとめ
オウンドメディアリクルーティングは、インターネット全盛の時代だからこそ、ニーズが高いといえます。つまり無料で広報できるSNSと連携すること、注目度を挙げながら検索流入も同時に増やし、採用コストを下げることができるからです。
例えば意識したキーワードで、継続的にコンテンツを積み上げいきます。その結果、応募者の質と量を上げることができます。そして、分析でどのコンテンツ経由でどてぐらい流入したかが把握できます。つまり偶然に頼らない確実性の高い採用資産が形成できるのです。
そのためには、コストと一定期間の継続が必要不可欠です。できるだけ効率的な運用方法については、弊社も日々実践&研究中ですので、できるだけ公開していく予定です。是非、ご期待下さい。