集客力の高いホームページ制作

メルカンは、株式会社メルカリが運営するオウンドメディアです。2016年から運用が開始され、採用候補者とのマッチングを目的としています。ある意味、オウンドメディアリクルーティングの代表格といえるでしょう。

このメルカンのサイトで注目すべきは、ITエンジニアへのアプローチです。ご存知の通り、ITエンジニアの採用は激戦状態です。例えばプログラマーやSE、インフラエンジニアなど様々な職種があります。メルカリの開発言語はGo言語(Golang)なので、中途採用でGo言語の即戦力プログラマーは欲しいところでしょう。ちなみにGo言語は2009年にGoogleが開発し、2012年にリリースされたプログラミング言語です。

本記事では、採用サイト成功事例の代表格であるメルカンを分析したいと思います。特にITエンジニアの採用で苦労されている担当者の方にとって、解決のヒントになれば幸いです。

 

1. メルカンとは

メルカン

メルカンは、株式会社メルカリが運用している採用系オウンドメディアです。コンセプトは『メルカリの「人」を伝える』というもので、記事数は合計2,200を超えています。メルカリは、日本最大のフリマサービスです。そのメルカリの発展には、IT技術者を筆頭に優秀な人材が必要不可欠です。そしてその採用活動に大きく貢献しているのが、このメルカンです。

その貢献度の大きさは、国内のメルカリ内定者の認知度が100%に達しているという数字にも表れています。2012年のスタート時は「メルカリを感じるオウンドメディア」でした。つまり最初は社内報的な存在でした。それが徐々に、対外的なメディアに成長していったという経緯があります。そして今はターゲットの訴求するチームの紹介がメインになっています。

メルカンの編集部は、「People Branding」というチームが主に運営を担当しています。これ以外にメルペイのPRやカスタマーサービスから担当者が集まっています。計10名ほどの編集部で運営されています。月間PVは20~30万で、年間記事制作本数は350本以上です。例えば採用競合企業は、Googleやサイバーエージェントあたりでしょうか。ソニーやリクルート、NTTデータあたりも入ってくるかも知れませんね。

 

2. メルカンが誕生した理由

2013年に山田進太郎氏が創業したメルカリは当初、プロダクトが中心でした。しかも使いやすいフリマアプリということでユーザー数も順調に増え、当時の社内は開発がメインでした。2014年にはアプリは200万ダウンロードを突破し、月間流通額は数億円規模になりました。そうした状況下で、社会とのコミュニケーションが後手に回っていたのです。

転機は、元ミクシイの小泉文明氏が経営参画したことでした。現社長の小泉氏が参画したことで、メルカリの情報発信が変貌したのです。その結果、メルカンが誕生しました。元のアイディアは、メルカリ社内の勉強会やイベント、個人の書籍を一つにまとめたメディアにしようというものでした。そして「人事がブランディングできるメディアを持つべきだ」という考えに発展します。こうして「ここを見ればメルカリがわかる」という採用オウンドメディアの草分け的存在になっていったのです。

 

3. メルカンのグローバルメニュー

メルカンは、タグ形式で見たいコンテンツに行ける構成になっています。下記は、コンテンツ数の多い順に記しています。これら以外には、「イチオシ記事(206)」「ブログ(136)」「ソウゾウ(116)」「グローバル(108)」等があります。

メニュー名 内容
1  メルカリな日々(706) 「生成AI」「エンジニア就活」「商品プロトタイプ」等の記事があります
2  ピックアップ(535) 「ビジネス構想」「ゲームチェンジ」「セキュリティ」等の記事があります
3  インタビュー(358) 「中途採用チーム」「月刊メルカリ放送室」等の記事があります
4  広報(343) 「メルカリPRの1日」「メルカリShops」等の記事があります
5  メルペイ(336) 「エンジニアたちの情熱と矜持」「コアバリュー」等の記事があります
6  イベント(241) 「未来構想フォーラム」「mercari.go」等の記事があります

 

4. 採用サイトとしてのメルカンの魅力

採用サイトとしてのメルカンの魅力はどこにあるのでしょうか。ここでは、印象的なコンテンツをご紹介します。

4-1. 原宿の突然出現した「ウチの実家」

「ウチの実家」イベント

「ウチの実家」イベントは、最大80分待ちになるほど連日行列を生んだ

「メルカリ10周年プロジェクト」のフィナーレとして企画されたのが、この「メルカリで出会えるモノでつくったウチの実家」です。メニュータグの「イチオシ記事」に掲載されており、とても人気の記事です。このイベントは、2023年11月30日から12月3日までの5日間、原宿で開催されました。テレビやSNSで話題になり、期間中は最大80分待ちになるほど盛況でした。

メルカン うちの実家

記念に家族写真もできる

「ウチの実家」は、メルカリで買えそうな2,000点以上のアイテムで作られた「疑似実家」を体験できる没入型イベントです。「想像以上に実家だった」「私もコレを持っていた!」といったコメントが挙がりました。しかもスゴイのは、玄関を開けると「おかえりー!」とお父さんとお母さんが迎えてくれる演出です。また大掃除の話題が増える11月にPRを実施したことで、扱うメディアも増えました。

この経緯については、『メルカリで出会えるモノで「実家」をつくったらエモすぎて泣けた。2023年もっとも盛り上がった企画の舞台裏』に掲載されています。このような成功したプロジェクトの経緯を情報発信することによる採用ブランディング効果は大きいと思います。

4-2. メルペイの与信の仕組みと信用のデザイン

メルペイあと払い

この記事は、世の中に支持されるサービスを提供するプロセスを通じて、メルカリの社内の雰囲気を伝えることに成功しています。「メルペイ」は2019年2月にリリースされ、4月には「メルペイあと払い」をローンチしました。この与信の仕組みと信用デザインの開発秘話を掲載した記事が、『メルカリ・メルペイ独自の与信体験を追求するため、「お客さまの声」を徹底的に聞いて“Why”を深く理解する』です。

特に面白いのは、なめらかな与信体験を提供するUXの改善や、決済インターフェースの話です。ここでは、メンバーの「お客さまの声を非常に大切にする組織」という言葉が象徴的でした。例えば、「何がどう使われるか」という“What”や“How”は直接データに現れます。しかし「なぜお客さまは延滞してしまったのか」という“Why”は、データ上に現れません。それを見つけるために、直接お客さまの声を聞いたり、プロトタイプを見せる話はかなり興味深いものです。この記事では、生身の人間の真意を掘り下げる作業の重要性を感じさせてくれます。

4-3. 中途採用チームの考えがわかるインタビュー

メルカン 中途採用チームインタビュー

メルカリの中途採用チームのメンバー

どんな企業でも、事業の推進・発展には優秀な人材が欠かせません。また必要となる人材は、事業フェーズによって変わってきます。そういった事業ニーズと求職者ニーズのマッチングを行うのが、採用チームです。特に中途採用は、即戦力性が要求されます。企業風土にフィットし、かつ事業のプロダクトの開発に貢献できる人材をどうリクルートするかは興味深いテーマです。

この『ALL For Oneな採用で事業成長に貢献したい-中途採用チームが目指す次のゴール』の記事では、実際のメンバーへのインタビューが掲載されています。ユニークだと感じたのが、カルチャーの一つである「Go Bold(大胆にやろう)」です。例えばトライアルアンドエラーの精神です。これは仮に失敗しても、そのノウハウを次に活かしていこうというものです。

中途採用チームは9名で構成されています。このインタビュー参加者の国籍は、日本、アメリカ、イギリス、アイルランドでした。こういった多様性のあるチームを露出することにより、今後更に世界的な人材獲得を推進していく意図が読み取れます。印象的だったのは、「よりデータドリブンなチームを作っていきたい」という言葉です。具体的には、「Hiring Insight Team」の新設です。これは個々のメンバーのアクションデータを共有し、改善していくインフラで面白い試みですね。

 

5. メルカリに関する人気解説YouTube動画

ここでは、メルカリに関する人気解説YouTube動画をご紹介します。創業者の山田進太郎氏の創業物語や採用広報、堀江貴文氏による成功分析など、興味深いコンテンツがあります。是非、参考にして下さい。

タイトル 再生回数
1 【山田進太郎】メルカリ創業物語 4,583回/月
2 採用広報は共感を得るために「業界の負」を伝える 3,083回/月
3 メルカリ来年春に“スキマバイト”事業に参入 報酬は「デジタル給与払い」目指す 3,800回/月
4 メルカリ成功の理由を分析!鍵はホリエモンでも乗り遅れたスマホシフトの波!? 7,916回/月
5 【CHROに必要とされる4つの力|メルカリ木下達夫】 2,583回/月

 

6. まとめ

メルカリは、日本人が創業した企業です。しかしその取り組みは、科学的なアプローチが多く、合理性を体現している印象を受けました。例えばチームワークとテクノロジーの融合のイメージです。

そのメルカリの日々を情報発信しているのが、今回ご紹介したメルカンです。このメルカンは、メルカリの採用に非常に大きな効果をもたらしています。内定者の認知度100%は、全員が入社前に記事に共感しているということです。

このメルカンは、日本企業の今後のマネジメントのケーススタディとしても非常に参考になります。人口減に直面している日本では、生産性の向上と外国人人材の採用が重要です。どうカルチャーを融合し、成果に導くのかという道筋に迷っている企業も多いでしょう。

多様性という言葉は簡単ですが、そこには宗教を始め、ナーバスなテーマが内包しています。そこをどうクリアしていくのかは、全ての日本企業の重要なテーマではないでしょうか。

関連記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事
TOP