1. 企画書のプレゼンはプレゼント
どんなビジネスシーンでも、相手にこちらの意図を正確に伝える必要があります。そんな時に、わかりやすくて見やすい企画書があると効果的です。
例えば新規顧客開拓の営業シーンでは、営業企画書が活用されます。その営業企画書に、競合サービスとの差別化ポイントや成功事例、導入イメージがわかりやすく表現されていると生産性がアップします。
具体的には、ビジネスのコミュニケーションにおいて誤解が少なくなります。例えばタイトル部分に具体的な数字を入れると、説得性が増します。また導入フローについて図版を入れると、相手はイメージがしやすくなります。
これが、「企画書のプレゼンはプレゼント」といわれる理由です。例えばゲームの企画書の場合、コンセプトやキャラクター、背景やシナリオなどをいかに見せるかが重要です。また大きなプロジェクトの場合、運営体制と役割分担は欠かせません。
このように、相手のかゆい所に手が届くような企画書は、Win-Winの関係を築く上で、とても重要です。
2. 企画書の表紙について
2-1. 表紙は企画書の玄関
皆さんがあるWebサイトを訪れた時、雑でメッセージがわからないデザインだったらどう思うでしょうか。おそらく、下にスクロールしたり、二次階層ページに進まないと思います。これは、企画書にも同じことがいえます。
私自身、リクルート在籍時代はパンフレットなどのコンペによく参加していました。比較的コンペには強かった方ですが、今から振り返ると表紙は非常に重要でした。つまりインパクトの強い表紙デザインが、勝率が高かったのです。
表紙の構成要素は7つあります。特に企画の目的がすぐわかる「タイトル」と理解を促進させる「サブタイトル」、インパクト溢れる「メインビジュアル」の3つの要素が重要です。この3要素に注力することをお勧めします。
2-2. 企画書表紙の作り方
ここでは、表紙に最低限入れるべき要素を以下に解説します。
2-2-1. 宛先名(①部分)
これは左上に入れる部分で、この企画書が誰に向けたものなのかを明示するものです。よくある例としては、「〇〇株式会社御中」や「〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様」といったものです。
2-2-2. 表紙画像(②部分)
一目で企画内容を連想させることができるのが、ビジュアルです。ビジュアルを入れない企画書もありますが、より効果的にする場合は入れることをおススメします。
2-2-3. 企画タイトル(③部分)
企画書の表紙において、一番重要なのがこの企画タイトルです。相手にとってメリットがあり、かつ具体性があるとインパクトが大きくなります。中身を見たくなるかどうかは、この企画タイトルにかかっていると言っても過言ではありません。
2-2-4. 企画サブタイトル(④部分)
実は、企画サブタイトルは企画タイトルと同じぐらい重要です。なぜなら、企画タイトルは目を惹くキャッチコピーを使用し、この企画サブタイトルで具体的な説明をすることが多いからです。この部分で企画メリットの具体的数字や成功イメージを入れると魅力的な表紙になります。
2-2-5. 作成主(⑤部分)
この企画書の作成主を明記します。メールの場合の署名部分に該当します。企画書は送信相手だけでなく、決裁権者など様々な人に回されます。そのため、「誰が書いたのか」も重要な情報です。
3. 企画書に入れる7つの要素
3-1. 表紙・タイトル
「この企画を導入したらこんなメリットがありますよ!」と伝えるのが、企画書の表紙です。そのためには3秒で相手に企画の目的とメリットを理解してもらうことが理想です。つまり、受け取る側の「感性」と「ロジック」両方に訴求する必要があります。
3-2. 企画の背景・現状について
「今回の企画提案の背景には、こんな現状があります」と伝える部分です。そのために、最近の市場動向や同業界のトピックスなどを明示します。また事前に先方担当者にヒアリングしている場合、提案先の事実関係を明示することもあります。現状分析を行うフレームワークの「6W2H」や「3C/4C」、「SWOT分析」については、『企画書の書き方とは?押さえるべき7つの要素で完成度UP!』で解説していますので、是非参考にして下さい。
3-3. 企画の目的とポイント
「今回の提案の目的は、〇〇です。ポイントは、以下の5つ(例)です」と伝える部分です。このページが、企画の全貌を伝える部分になります。ポイントの具体例としては、以下が挙げられます。
① ターゲット(誰に)
② 施策内容(何を)
③ 手法(どうするのか)
④ いくらで(コスト予測)
3-4. 企画のメリットとデメリット
「今回の企画を導入した場合のメリットとデメリットです」と伝える部分です。このページは、企画の必要性を伝える重要な部分です。例えばメリットについては、「新規顧客の獲得」や「売上の向上」、「会員の新規登録」「粗利率の改善」といった経営上のメリットがあると効果大です。
デメリットとして代表的なのは、企画導入に「コストがかかる」ことです。ただし、これは損益分岐を上回れば問題ないので、そのイメージをどれだけ説得性高く説明できるかにかかっています。
3-5. 企画の運営体制(組織図)
「今回の企画を実際に運営した場合の体制です」と説明する部分です。企画とは、「解決性」と「実現性」を証明する必要があります。この運営体制は、企画を実現するための人員リソース配置を共有します。例えばシステム開発系の提案であれば、プロジェクトマネージャー(PM)やシステムエンジニア(SE)、プログラマー(PG)と人数を明記します。
3-6. 企画の実施スケジュール
「企画を実現するためのスケジュールはこのようになります」と伝える部分です。例えばプレゼン日から1ヶ月後ぐらいからスタートする形にしておくと、受け手は具体的にイメージしやすくなります。表現方法としては、以下のような手法があります。
① エクセルの表組で日時とタスクを明記する
② パワーポイントなどを活用し、フロー図で見せる
また長期に渡るプロジェクトの場合、いくつかの中間目標を設定しておくと安心です。そうしておくと、柔軟に軌道修正できるイメージが先方に伝わります。
3-7. 会社概要・連絡先
「最後に、弊社についてご案内させて頂きます」と伝える部分です。今回の企画が承認された場合の受託先企業の自己紹介するページです。特に提案先が重視するのは、事業内容と過去の実績です。その心をくみ取って、提案内容に重なるビジネス展開部分を詳しく表記すると安心してもらえます。
3-8. 追加資料
上記の7つの要素以外にも、企画書に入れる要素として効果的なものをここで解説します。まずは、提案企画に近い自社の成功事例です。提案を受けた側が注目するのは、「企画内容」と「実行能力」です。そして企画内容が優れていた場合、次にチェックするのは「提案会社が実行する能力があるのか」という点です。その時に一番効果的なのが、類似の成功事例です。それを見せることで、「過去に似たようなケースを成功させているのであれば、ここにお願いしても大丈夫かも」と思ってもらえます。
それ以外には、統計資料などの客観的データなどがあります。特に総務省や経済産業省、矢野経済研究所などの資料が有名です。また経済産業省の委託調査報告書は、コンサル会社等が調査した貴重なレポートが見れます。