編集という言葉を聞いて、皆さんはどんなイメージを思い浮かべますか?例えば動画や雑誌、書籍の編集でしょうか。その基本的な意味は、一定の方針に沿って情報を収集・整理し、各種メディアにまとめることです。
特に今は、インターネット全盛の時代です。そしてコンテンツマーケティングにおいて、この編集のニーズが高まっています。具体的には、読者への訴求力とSEO的な観点の両方を重ね合わせた編集力です。
またインターネット広告においては、広告文やランディングページ(LP)での編集力も高いニーズがあります。コンバージョン率の高いキーワードを意識した設計は、インターネット広告では必須です。しかし、ただ単純にキーワードを盛り込むだけでは成果は出ません。ターゲットの興味を喚起し、共感を生み、説得力をもたせるプロセスが大切です。
ここに、編集企画力が重要になってきます。例えば、Googleが検索上位表示で重視するオリジナリティです。また権威性やエビデンスなどがあります。本記事では、実際に反響の高かった記事を通して解説します。
Contents
1. 編集とは
1-1. 紙からデジタルへ
編集は、様々な情報を収集し、整理し、新聞や書籍、雑誌、テレビ番組、映画、動画に仕上げます。一般的な文章や企画書の作成作業にも、編集的要素はあります。
近年の新聞の部数減少や出版不況の影響で、紙媒体の編集者ニーズは減っています。一方で、大きく成長しているのがインターネットです。ただ媒体のデータが紙からHTMLに変更しただけで、その本質は大きく変わっていません。ただしスマホでも見やすいレスポンシブデザインや、ページの表示スピード等、Webメディアとして気をつけるべきポイントはあります。
1-2. やはり重要なのはオリジナルの情報
情報のオリジナル性が高いほど、ユーザーへの訴求力は高まります。やはり人は、今まで自分が知らなかった情報に驚き、興味を持ちます。だからこそ、情報収集力が大切になります。またその鮮度の高い情報を、いかにインパクトのある構成にするのかも同じ位重要です。この企画力と表現力が、コンテンツ力につながっていきます。
1-3. 被リンクという名の人気投票が検索結果に
情報のオリジナリティと企画、クリエイティブの質の高いコンテンツは、多くのユーザーの支持を獲得できます。このユーザーの支持を表す数字は、従来の紙メディア場合は部数になります。
一方インターネットの場合、一番重要な指標が被リンク数です。実際にページを読んだ読者が「これは保存しておこう」というブックマークする行動が、一番コンテンツの信頼性を担保しているからです。そして大雑把にいうと、この被リンクの数が、検索の上位表示につながります。
2. 学生向けインターンシップフリーペーパーを創刊
ここからは、過去の紙メディアで反響の大きかった事例をご紹介します。このフリーペーパーは、私自身が一から立ち上げました。企画構成、ライティング、文字校正、デザイナーへのディレクション(インデザイン)、制作進行管理全て私が行いました。

2-1. メディアプロデュース講座の立ち上げと運営
自分が学生時代、「目指す業界のプロの声が聞ける機会が欲しい」と感じたことがありました。当時も就職関係の書籍や雑誌はたくさんありましたが、やはり生の声に勝るものはありません。顔出しの業界のプロのインタビューが聞けるYouTubeは、本当に便利です。
そんな機会を作ろうと考えたのが、このメディアプロデュース講座でした。電通の元局長やTBS現役アナウンサー、ブルータス編集長など各界のプロを招いての講演は、応募者が殺到しました。その結果、登録者は大幅に増加し、部数も大幅に躍進し、実部数は10万部に達しました。

元電通の営業局長の講演には、マスコミ志望の学生が殺到した。コミュニケーションの極意について、生の体験に基づいたエピソードには説得力があった

TBSの現役アナウンサーを招いてアナウンサー採用のポイントを詳しく解説してもらった。この講座の参加者から見事3名が内定を勝ち獲った
2-2. 学生のアイディアをプロにぶつけられる場にも
メディアプロデュース講座では、業界のプロの話を聞くだけではなく、アイディアをぶつける場も設けました。自分の頭で考えた内容が、プロはどんな評価をするのか。この企画はかなりの反響を呼び、特に危機意識の高い学生には人気でした。

業界のプロに自分のアイディアをぶつけられる機会を作ったメディアプロデュース講座

パワーポイントで作成した学生のプレゼン資料を、プロが批評する機会を設けた
3. 会計事務所向け会員誌を創刊

この会員向け情報誌の創刊も手掛けました。この情報誌は、新規事業の核にもなりました。こちらも編集企画、文章作成、文字校正、デザイナーへのディレクション(インデザイン)、制作進行管理全て私が行いました。
3-1. 海外の会計事務所事情
日本に住んでいると、海外の事情について盲目的になりがちです。特に会計業界は、その傾向が強く感じられました。そこで会員情報誌で、この海外の会計事務所特集を組んだところ、大きな反響がありました。アメリカで起こったことは、数年後日本で起こるとよくいわれます。そういった意味では、意識の高い会計事務所所長に刺さった企画だったと思います。

海外の会計事務所の特集記事は、大きな反響を呼んだ
3-2. 会計事務所トップインタビュー
この情報誌の一つの看板企画が、この会計事務所トップインタビューです。サービス力の高い会計事務所を選び、私自身が全てインタビューとライティングを行いました。その会計事務所の考え方やサービス力の根源にできるだけ迫る企画です。この連載は、有名な日本経済新聞の『私の履歴書』の会計事務所版を目指していました。

会計事務所の所長インタビューでは、その考え方やサービス力の源に迫った
3-3. 浅草サンバカーニバルを立ち上げた広告人
長らく広告が禁止されていた会計業界は、マーケティングの視点が弱いかも知れません。その新しい視点を伝えるため、広告人を特集で取り上げました。タイトルは、『浅草サンバカーニバルを仕掛けた男』。電通4代目社長吉田秀雄氏の甥っ子さんで、ご自身はTBSのご出身です。若者を呼ぶための3つのS(SEX、SOUND、SPEED)は、当時としては非常に斬新なものでした。その後の発展ぶりは、皆さんご存知の通りです。

電通吉田秀雄の甥っ子である白石氏の浅草サンバカーニバル立ち上げの経緯は、インパクトを与えた
4. まとめ
インターネット全盛の今、デジタルメディアの数も多様化しています。Webサイト一つとっても、企業サイトやECサイト、オウンドメディアなど多岐に渡ります。そしてそこには、必ず編集作業が存在します。
ユーザーを満足させるためには、どんな編集であるべきか。これは、永遠のテーマといえるでしょう。ターゲット設定、情報カテゴリー、そして検索キーワード調査やコンテンツ構成など、そのプロセスは複雑です。
ただデジタルメディアのやりがいは、その結果スピードです。施策の数字結果がすぐに判明し、改善の方向性も決めやすくなります。そういう意味では、現代のメディア編集はアナログ時代よりもより科学的になっているといえます。
またメディアは、新規事業の核になるパワーがあります。『新規事業の立ち上げとは?会計業界での新規サービス立ち上げ物語』でも詳しく解説していますのでぜひ参考にして下さい。