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企画書

企画書は、ただ完成させるだけでは意味がありません。例えば商品企画書やプロジェクト企画書など、斬新なアイディアや今までにない企画を相手に理解してもらい、行動に移してもらうことが大切です。そのためには、わかりやすくかつおしゃれな企画書が理想です。

そうはいっても、突然企画書を作成しなければならない時は焦ってしまいがちです。ある日突然上司から「明後日までに企画書をよろしく」と言われたら、頭が真っ白になってしまう人もいるでしょう。

実は、時間をかけない企画書の作り方があります。本記事では、短時間で完成度の高い企画書作成方法について詳しく解説します。

 

1. 企画書とは

企画書とは、企画の目的や、プロセス、予算、スケジュール、運営体制など、関係者が知っておくべき情報をまとめた文書です。手にした人がすぐに理解し、企画案を採用してもらえるようにわかりやすく書くことが重要です。

「これは我が社にとってやる価値がある」と感じてもらえるかどうか。そのためには、企画の採用メリットの説得力がポイントになります。

 

2. 企画書と提案書の違い

企画書は、新しいアイディアや実行プランを組織の決裁権者に提示する文書です。実現するための具体的プロセスや費用、スケジュールなどが記されています。英語では「business proposal」「project proposal」と記します。

一方、提案書は提案先の業務上の課題等について、改善策や解決策を提案する文書です。英語では、「proposal document」「proposal sheet」と表記します。

 

3. ビジネス文書としてシンプルさが重要

企画書で一番重要なのは、「わかりやすい」や「メリットが感じられる」、「説得力がある」ことです。文字がたくさん書かれたページは、中身が充実しているように見えるかも知れません。しかし、実際には受け手には伝わっていないことが多いのです。

ビジネス文書として企画書が機能するためには、見出しだけで企画の全体構造が理解できるようにする必要があります。また強調部分を設置することで、アピール力を強化できます。つまり、受け手が拾い読みするだけで企画の趣旨が理解できるようなデザインがとても重要です。

 

4. 企画書の作り方

パワーポイントで短時間で作成するためには、企画書の構成要素は7つあります。ここでは、それを解説します。具体的なイメージがしやすいように、表現サンプルを付記しましたのでご活用下さい。

4-1. 現状分析

現状分析は、企画の出発点と言い換えてもいいでしょう。「なぜこの企画を実行する必要があるのか」という根拠を示すページです。現状分析のページに具体的な数字を明記すると、より説得力を持たせる効果があります。

また現状(事実)を踏まえた上で、解決すべき課題も明記します。プレゼン的には「現状は〇〇です。そこから考えられる課題としては、〇〇があります」となります。

根拠の種類 根拠の表現例
公的機関の開示資料/厚生労働省 保育士が再就業する場合の希望条件順位
公的機関の開示資料/中小企業庁 起業家の内訳
提案先の現状把握 新卒社員の3年以内の離職率の過去5年の推移
提案先の現状把握 主力商品Xの過去10年の市場シェア推移

 

4-2. 企画の全体像とGOAL設定

現状分析と課題設定の流れを受けて、企画の全体像とGOALを設定します。例えば、課題を解決するための解決策を提示し、解決できた時のメリットをアピールします。

この時、企画案を実行する当事者の外部環境と内部環境も記すことで全体像が見えてきます。外部環境とは、競合サービスや市場環境
などです。また内部環境とは、使える予算や人員などのリソースや社風などです。

4-3. 企画の具体的内容

このページでは、今回の企画が「誰に」「何を」「どのように」「どうするのか」を記します。このページでは、企画書のハイライトシーンですので、力を入れて作成する必要があります。

4-3-1. 「誰に」

「誰に」の部分は、企画のターゲット設定になります。ターゲットの人物像の性別や年齢、年収や嗜好などの属性を記すペルソナの設定をすると、企画の実行イメージにリアリティが湧きます。

また企画書の相手に合わせて表現のトーン&マナーをカスタマイズすると、より効果的です。具体的には、『企画書デザインの法則① 提出相手に合わせるトーン&マナーとは』で詳しく紹介しています。是非、参考にして下さい。

4-3-2. 「何を」

「何を」の部分が、提案先の商品やサービスになります。いわゆる今回の企画で、ターゲットに“売り込むもの”です。企画書を作成する前に、この主体となる商品やサービスの情報収集しておくと、企画の完成度が高くなります。

4-3-3. 「どのように」

この「どのように」の部分が方法論であり、企画案の心臓の部分です。いわゆる“How”ですね。このページでは、アクションプランのポイントを記します。その中に企画の独自性があると、訴求力は大幅にアップします。

4-3-4. 「どうする」

「どうする」の部分は、企画を実施した後の結果を伝えるページです。このページで、具体的な成功イメージをアピールします。提案先は、「いくらお金をかけて」「どういうメリットが生まれる」ことに注視しています。

4-4. 具体的スケジュール

企画書 スケジュール表

企画を実施する場合、「いつからいつまで」の期間が必要かを明記します。企画実施スケジュールは、企画の準備期間やトラブルの可能性も含めて余裕を持たせます。スケジュールの表記方法としては、ガントチャート(Gantt chart)は作業計画を視覚化できるので便利です。

4-5. 収支計画

企画を実施した場合、どの費用項目にいくらコストがかかり、どれほどの収益が上がるのかを記します。商品の販売促進企画の場合、費用項目は広告宣伝費で、収益は売上げ金額です。また会員獲得企画の場合は、後者が会員増加獲得数になります。

4-6. 運営体制

企画を、どのような体制で実施するのかを記します。企画実施企業の誰がリーダーシップを取り、どの部署が中心となって動くのかなどを記します。また提案企業が、どの程度関わるのかも重要な要素です。

4-7. 参考資料

実は、意外と読まれるのがこの参考資料部分です。企画の根拠を示す客観的なデータが付記されていると、説得力がアップします。例えば成長市場の統計データや課題の本質を突くアンケートデータなど、様々な種類があります。

提案先の業界によって参考資料は変わってきますが、資料例を以下に記します。例えば、企画ニーズに直結する部分を抽出して見せるとより効果的になります。

4-7-1. 経済産業省『デジタル人材の報酬水準』

人材業界での提案に役立つのが、この経済産業省の『デジタル人材の報酬水準』です。日本国内では、プログラマーに代表されるITエンジニアの争奪戦が起こっています。その中で、デジタル人材の報酬の相場観を踏まえておくことは必要不可欠です。

4-7-2. 経済産業省『ビル・工場分野のセキュリティ事故事例』

セキュリティ業界や保険業界に役立つのが、この経済産業省の『ビル・工場分野のセキュリティ事故事例』です。近年、外部からのサーバー攻撃によって、こういった社会インフラの機能停止や個人情報の流出が多発しています。そういった現状を把握するための優良資料です。

4-7-3. ニッセンBtoB運営事務局『リサーチ白書:化粧品に関する調査結果』

化粧品業界やコスメ業界に役立つのが、このニッセンBtoB運営事務局の『リサーチ白書:化粧品に関する調査結果』です。例えば「お顔の美容について」という項目では、「肌荒れ改善」や「しみ・くすみ改善」「ニキビ解消」など各項目ごとに年代ごとのニーズがわかります。

4-7-4. WSTS日本協議会『2022年秋季半導体市場予測について』

半導体業界や半導体を必要とする産業に役立つのが、このWSTS日本協議会の『2022年秋季半導体市場予測について』です。WSTSとは、WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICSの略で、世界半導体市場統計のことです。例えば「日本市場における販売額」で、世界の半導体メーカーが日本で第三者に販売した半導体製品の金額が把握できます。

 

5. 企画書の構成にすぐ使えるフレームワークとは

ここでは、企画書作成にすぐ活用できるフレームワークをご紹介します。

5-1. 6W2H

6W2Hは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「Whom(だれに)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」「How much(いくらで)」の英単語の頭文字を表した言葉です。5W1Hの発展形のフレームワークです。

この8つの要素で組み立てることで、情報の全体像を正確に伝えることができます。例えば、6W2Hの「Whom(だれに)」はターゲットを表します。また「Why(なぜ)は、企画を実施する背景を表します。

5-2. 現状分析に役立つ3C/4C分析

3C/4C分析は、企業やサービスが置かれている現状を把握するための効果的な分析手法です。3Cの場合は、「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の視点から分析します。4Cの場合は、3Cに「流通チャネル(Channel)」を加えて書き出します。

ポイントとしては、「ターゲットとする顧客が適正かどうか」「競合企業は顧客を競合しているか」などがあります。3C/4C分析は、事業戦略を立案するにあたっての現状分析と検証によく活用されます。

5-3. 現状分析に役立つSWOT分析

SWOT分析は、これから起業しようと考えている方には人気のフレームワークです。「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」の4つの要素のマトリックスで構成していきます。

SWOT分析のポイントは、それぞれの項目でできるだけ多くの要素を書き出すことで、より細かい現状分析ができることです。例えば化粧品会社の「強み(Strength)」の場合、「価格競争力」や「商品の効能」「認知度」といった具合に書き出していきます。

 

6. 企画書のデザインの重要性

企画書デザイン

6-1. デザインで伝わる度合いが変わる

企画書は構成も大事ですが、デザインもとても重要です。例えば、文字のだけの企画書と、要点を見やすくし、図版や根拠となるグラフを入れた企画書では、訴求力が全く変わります。

デザインは理解力を早め、また誤解を防止する効果があります。そして記憶にも残りやすく、その結果企画の意図が伝わりやすくなります。パワーポイントで企画書を作成する場合、写真の挿入や図版を作成しやすいので、是非活用してみて下さい。

また初心者の方には、企画書テンプレートの活用もおススメです。既にフォーマットが完成されているので、短時間で完成することができます。

企画書デザイン

弊社の企画書図版事例


 

6-2. 企画書の表紙デザインは重要

企画書のデザインの中でも、表紙デザインは特に重要です。例えば、広告のコンペティション(competition)で勝つためには、表紙のインパクトは大きな要素です。

おしゃれな表紙は、読む気をそそります。提案する企画内容の中身に興味を持たせるキャッチコピー、イメージを喚起させるビジュアルなど、いろんな要素を組み合わせて表現します。

近年は、メールでの新規開拓営業でも企画書は効果的です。表紙デザインが興味を惹くかどうかで、開封率も大きく変わってきます。以下にパワーポイントで作成した弊社の企画書表紙デザイン例を御紹介しますので、是非参考にして下さい。
 

企画書デザイン

弊社の企画書作成代行実績

 

7. 最後に

企画書は、何度も書いていくうちに慣れてくるものです。まずは早く取り組み、何度も作成し直していくうちに完成度が必ずアップしていきます。その繰り返しで、企画書の書き方が身についてきます。

「現状分析」「企画の全体像とGOAL設定」「企画の具体的内容」「具体的スケジュール」「収支計画」「運営体制」「参考資料」の7つを入れて、共感性と説得性の高い企画書作成を目指しましょう。

おすすめしたいのが、ラフが完成した時点で他人に見てもらうことです。なぜなら第三者の視点を挟むことで、資料に客観性が生まれるからです。

説得力がある企画書とは、企画案を支える客観的事実のパワーがある企画書です。企画書を作成し、何度もプレゼンを経験すると、提案相手の心が動く箇所がだんだん掴めています。

その繰り返しが、企画書作成スキルの向上に必ず役立ちます。

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