企画

企画とは?実現可能でパフォーマンスを発揮する企画作成方法

企画とは、何らかの課題に対して実施可能なアクションを考えることです。仕事の現場では、「例の件について、今週企画を出してくれ」といった指示があります。

そんな時に、どうればいいのか困る方も多いと思います。一番の早道は、先人の手法をまずは真似て、自分のスタイルを徐々に確立していくことです。

企画とはすべての仕事の根本にあるものです。企画力が身につけば、仕事のクオリティを上げることができます。本記事では、企画を実際に立てる手順をわかりやすく解説し、企画力を身につける方法を解説します。

 

1. 企画とは

企画とは

「企画」という意味を調べると、以下のように出ています。

ある事を行うために計画をたてること。また、その計画。くわだて。-コトバンクより

一般的に、企画する人には「凄いアイディアがひらめく人」というイメージがあります。ひらめきも大事ですが、実はもっと重要なのは瞬間的な思いつきに頼らないノウハウです。

広告業界の有名なクリエイターは、みんな新人時代から様々な経験をし、多くの実務経験に裏付けされた方法論をそれぞれ持っています。「くわだて」のベースには、無数の経験と知識があるのです。

企画マンに求められる資質としては、いろんな考え方を柔軟に取り入れ、新しいことに挑戦することが重要です。そうすることで、自分独自の「企画を立てる技術」を確立できます。

最初は人の真似からでも構いません。一つの方法論を試し、合わなかったらまた別の方法論を試す。そうした姿勢が、企画マンとしての成長につながっていきます。

 

2. 企画職の仕事内容とは

企画職の仕事内容

企画職には、どんな仕事があるのでしょうか。求人サイトで「企画職」で調べると、「広報」や「商品開発」、「経営企画」、「事業企画」や「営業企画」といった職種が出てきます。

ここでは、企画職と言われる職種についてそれぞれ解説します。

2-1. 広報

広報の仕事

広報の仕事は、「社外広報」と「社内広報」があります。社外広報の仕事は、「プレスリリース配信」や「取材」、「公式SNS配信」、「イベント企画」、「リスク対応」などがあります。

社内広報の仕事は、「社内報制作」や「社内メルマガ」、「社内SNS」があります。

広告宣伝の場合はメディアにお金を払って宣伝してもらいますが、広報はメディアに情報を提供し、宣伝してもらえるように働きかけます。つまり、自社の製品やサービスの情報をメディアに無料で掲載してもらえるようにアプローチします。

そのためには、メディアにとっての情報価値を見極めることが重要です。そうすることで、ギブアンドテイクの関係を構築できます。こうした活動を通じ、広報の仕事はマスコミに人脈を築くことができるのもメリットです。

2-2. 商品企画

商品企画の仕事

商品企画とは、これから市場に投入する新商品のアイディアを、「性能」や「デザイン」、「価格」といったスペックに具現化する仕事です。「市場分析」や「企画構成」、「企画立案」、「プレゼン」などを行います。

通常は商品企画が開始する前に、商品のコアターゲットが設定されています。それらの市場規模を調べたり、開発者にヒアリングをして意見を聞いたりします。また営業マンにもヒアリングし、競合商品情報や顧客ニーズについてリサーチします。

最終的には、社として商品を出すための承認を得るため、プレゼンテーションを行います。その商品が顧客にどんなソリューションを提供するのかを説明します。また同時に、競合との差別化ポイントや詳しい仕様情報も必要になります。

商品企画は、4Cといわれる「顧客価値(Customer Value)」「顧客のコスト(Cost)」「顧客にとっての利便性(Convenience)」「顧客とのコミュニケーション(Communication)」を踏まえたマーケティングが重要です。自社と競合、市場の情報にマーケティングを組み合わせると、成功確度が上がります。

2-3. 経営企画

経営企画の仕事

経営企画とは、自社の今後の方向性や経営戦略を中長期的に立案する仕事です。自社の各部署から上がってくる各種データや、外部に委託した調査情報などをもとに、「経営計画書」「新規事業計画書」などを作成します。また「経営会議運営」や「株主総会運営」を担うこともあります。

例えば経営計画書を作成する場合、「市場動向」や「競合分析」、「予算」「売上」「販管費」「事例研究」といった作業を行います。様々な重要データを収集・分析し、自社の発展予測を組み立てます。

重要なのは、各部署のキーマンと連携し、生の生きた情報を収集するスキルです。例えば自社&競合情報は、自社の顧客から聞く満足度や不満が貴重なデータになります。

経営企画に求められるのは、高いコミュニケーション能力や分析力、そして洞察力です。全社及び競合の情報が集まり、経営陣の意思決定のサポートを担う非常にやりがいのある仕事といえます。

2-4. 企画営業

企画営業の仕事

企画営業とは、自社の商品・サービスを活用し、顧客の課題を解決できる方法を提案する営業です。この提案をするには、顧客がどんな課題を抱えているのかを正確に把握し、分析する必要があります。

そして自社の商品・サービスを解決策としてマッチングさせるわけですが、重要なのはコストパフォーマンスです。せっかく顧客がサービスを導入しても、合計が赤字であれば経営的には損失になります。

そこで重要になってくるのが、導入後のシミュレーションです。企画営業で顧客が一番関心を持つのは、自社に近い状況の導入企業の成功事例です。どんな企業もリスクをできるだけ避けたいため、自社に近い企業の実データが一番説得力を持ちます。ただ守秘義務等の関係もあるので、多くの場合は他業種の匿名表記で事例を紹介します。

 

3. 企画の立て方

企画の立て方

ここでは、具体的な企画の立て方について解説します。

3-1. スケジュールを立てる

企画書の提出日や実施日など、ポイントとなる期日を意識したスケジュールを立てましょう。後ろを設定することで、「いつまでに何をするべきか」が明確になります。

スケジュールの中でも、「情報取集」や「全体構成作成」、「仕上げ」といったフェーズごとに分けるとより段取りが明確になります。

3-2. コンセプトを立てる

全体スケジュールを決めると、次に企画の核となるコンセプトを立てます。コンセプトを設定しないと、企画の方向性が定めまりません。

例えば友達とご飯に行く時、「ご飯に行こう」よりも「中華に行こう」の方が明快です。ただし、コンセプトというものが結構難しいのも事実です。

ここでは、わかりやすい例を解説します。例えば、エンジニア採用に苦しんでいる企業があるとしましょう。あなたの会社は、採用ホームページに強いWeb制作会社です。自社サービスは、採用ホームページです。

エンジニア採用に苦労している会社がある。

→この文章を読んだ時、この会社のイメージがつくでしょうか。採用ニーズがあることはわかりますが、上記の文章だけではどんな会社かわかりません。

エンジニア採用に苦労しているゲーム制作会社がある。

→上の文章と比べて、「ゲーム」という「概念」が加わって、より具現化されています。

エンジニア採用に苦労している、人を大事にするゲーム制作会社がある。

→さらに「人を大事にする」という「概念」が加わって、かなり明確になりました。

このように、元の実体に「概念」を加えることで、「どのようなものか」をより明確にすることができます。つまり、コンセプトとは「実体+概念」の組み合わせで、より存在の在り方を決めることができます。

3-3. 企画案を考える

コンセプトが決定すると、いよいよ企画案を考えます。コンセプトに沿って実際に何をするのか、リサーチや検討を繰り返して具体化していきます。

企画が、ニーズを顧客の課題を解決できるものになっているか気をつけましょう。また根拠を持って説明できるようにしましょう。

ここで重要なのは、多くのアイデアの中から最適なものを検討することです。一人で考えるのではなく、できるだけ多くの人に感想を聞くと、第三者の視点が得られて参考になります。

3-4. 企画書を書く

ここまでくれば、後は企画書を完成させるのみです。企画書の書き方については、『企画書作成とは?作成方法から役立つツールまでノウハウを紹介!』で詳しく紹介しています。「企画書作成の方法」や、「情報収集用サイト」、「パワーポイントでの企画書作成方法」をご紹介しています。

また一刻の早く企画書を作成したい方は、『企画書デザインで訴求力UP!無料テンプレートも紹介します』を是非参考にして下さい。

「効果を出すための企画書デザインのポイント」や「無料で使える企画書テンプレート」を紹介しています。特にテンプレートは、短期間である程度の完成度を実現できる便利なツールですので、是非ご活用下さい。

3-5. 企画書を提出する

企画書が完成したら、いよいよ担当者に提出です。営業シーンでは、クライアント先でプレゼンテーションする場合もあるでしょう。「文中の誤字・脱字」や「ページ番号の間違い」がないか、何回もチェックしておきましょう。

ページの流れについては、完成した時点で全ページプリントアウトして、机の上に並べると一目瞭然です。少しでも流れに不自然さがあれば、前後を入れ替えたり、補足ページを差し込みましょう。

 

4. 企画力をつける方法

4-1. アイディアを日常でストックする

企画を生み出すには、アイデアの種が必要です。頭の中にアイデアを生み出す土台を作るには、「今から1時間企画を考える時間にしよう」というように、企画のためにわざわざ時間を設けるようなことは不要です。

日常生活の中のふとした思いつきに敏感になり、そのとりとめのない思いつきをメモしておきましょう。そうすることで、アイデアとアイデアが繋がることがあります。

4-2. 人と会い、本を読み情報を集める

世の中のニーズに敏感になるには、情報収集が肝心です。世の中のニーズをオフィスで一人で考え込むのでは、机上の空論になりかねません。人と会ったり本を読むなどして、様々なものに触れて情報をインプットしましょう。

電車や駅構内の交通広告も、情報収集に役に立ちます。交通広告は大規模なプロモーションが多く、流行っているものが見えてきます。

4-4. 情報のアウトプットをする

自分の中に取り込んだ情報を、アウトプットするクセをつけるようにしましょう。例えば、人に話したり、SNSで発信することで、反応を確かめる環境も作りましょう。

情報というのは発信しているところに集まるもので、質の高い情報を発信すると、人や情報が自分のもとに集まってきます。そうすることで、世の中のニーズや面白いアイデアが自分に集まってくるようになります。

また現在の世の中のニーズや問題点をいったん言葉にしてみることで、現状を把握し情報が整理されて、アイデアが浮かんでくることもあります。

弊社が運営している『企画書作成.COM』では、時事的なテーマをたくさん扱っていますので是非参考にして下さい。

4-4. なぜ?と考えることが大事

何か不便を感じた時、「なぜ自分は不便に感じたんだろう?」と考えてみましょう。また感動したり嬉しかった時、「なぜ自分はいいと思ったんだろう?」と深く考えてみることが大切です。

某マンションでは、空き巣被害が多発していました。管理組合は犯人を捕まえるための防犯カメラを設置したいのはやまやまでしたが、価格が高く導入は厳しい状況でした。

そこで、実は録画機能がない防犯カメラ風のカメラ模型を設置しました。すると、防犯カメラ模型を設置以降、空き巣被害がなくなったのです。つまり、防犯カメラの存在自体が空き巣被害の抑止力になっていたのです。

このように、一見当たり前のようでも立ち止まって考えてみることで、本質的なニーズを発見できることがあります。

 

5. じゃらんを創ったアイディアマンから学ぶ

じゃらんを創ったアイディアマン

5-1. リクルートで14メディアを創刊

倉田学というリクルートの伝説の人物がいます。リクルートは当時東大生だった江副さんが西新橋の第二森ビルの屋上プレハブで一から立ち上げた企業ですが、倉田氏は20年間で14ものメディアを立ち上げた「創刊男」です。中大法学部の学生時代から集英社のプレイボーイ編集部に出入りし、その後リクルートに入社します。

その倉田氏が書いた『MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術』には、新しい企画を考えるためのヒントがぎっしり詰まっている秀逸のビジネス本です。そこから参考になるノウハウを一部紹介したいと思います。

5-2. 相手をよく知ることが大事

いい商品を作るためには、商品のことを考えてはならない。商品のことから考えてスタートしてはいけない。

これは、非常に貴重な言葉だと思います。企画を立てる時には、どうしても商品のことを考えてしまいがちです。しかし、一番重要なのは企画が成立することです。

「手前勝手に商品自体から慌ててスタートしてしまうと、結果として顧客にとってのいい商品にはならなくなってしまう。“こんなに苦労して作ったんだから”も、“いいものに決まってるじゃないか”も、独りよがりに過ぎない。かつて大ヒットしたものも、今日も受け入れられているのかどうかはわからない。数字の結果が悪くなってからでは遅すぎる。」

しかも、過去のヒット事例も決してあてにできないことも指摘されています。ビジネスマーケティングは、常に最新データを分析し、将来を予測する重要性がわかります。

やはり一番知らなくてはいけないのは、「相手」のことである。

「買った人は、数ある商品の中からなぜそれを選んだのか。その選んだ理由は、買ったあともいまだに変わらぬ長所なのか。実はもう失望しているのか。買わない人は知らなかったからなのか?見たことがないのか?あるいは知っているからこそ嫌なのか?それならなぜ嫌なのか?相手について知っておかなくてはならない“?”が、山ほどわいてくる。ふだんからそれを把握しておきたい。」

良い企画を成り立たせるエッセンスが、まさにこの言葉に凝縮されています。この場合の商品は、自社商品だったり、先行している競合商品だったりします。

個人として、ちゃんと生活すること。寝て、起きて、食べて、飲んで、働いて、遊ぶこと。

自立して生きて、「飲んで」「遊ぶこと」の重要性を指摘しているところが面白いです。広告業界のトップクリエイターは、みんな「食べて」「飲んで」「遊んで」います。それは、それが仕事に生きることを知っているからです。

5-3. 伝説のフロム・エーのマーケティング

伝説のフロム・エーのプレゼン

「池田さん、お願いします。(※中略)先日、若者がよく集まる酒場で一人で飲みました。この2年間、ちょくちょく大学のキャンパス、生協、食堂にもぐり込みました。いろんな人間が群れ集まり、いろんなアクションを起こしていましたが、そこで形づくられている「ムード」「空気」のようなものはずいぶん参考になりました。自分自身の四十数種類のバイト体験も思い返してみました。(※中略)どうぞ、宜しくお願いします」

このエピソードは、マーケティングの真骨頂が見えてきます。現代ではWebやSNSのビックデータを活かしますが、そのデータは競合も入手可能です。やはり差別化を図る企画には、リアルな接触も重要です。「就職ジャーナル」の長園氏も、創刊準備期に新橋の居酒屋に潜入して徹底的にヒアリングしたそうです。

 

6. まとめ

企画は、どれだけデジタルが進化しても、必要とされ続けます。

人間が相手である以上、人間のことを一番よく知っている人間しか考えられない企画は普遍的なニーズがあります。ただその成功の打率を高めるためには、デジタルスキルが絶対的な要素なのも事実です。

世の中の変化のスピードが早くなり、特にデジタル分野のテクノロジーの進化は目覚ましいものがあります。

だからこそ、人間力✕テクノロジーの優れた企画力は、今後よりニーズは高まると思われます。

企画書作成ノウハウ集

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