電動キックボードは危ない?事故要因や把握すべき罰則の総まとめ

電動キックボード危ない

最近、街中で電動キックボードをよく見かけます。特に夜の遅い時間に、気持ち良さそうに乗っている若者が増えています。電動キックボードは、今やかなり認知度が高まっているといえるでしょう。

しかし一方で、公道での走行マナーが話題になることが多いのも事実です。例えば信号無視や、歩道走行などは、見かけた方もいるかも知れません。また2024年1月から6月までの電動キックボードの事故は、全国で134件発生しています。そのうち17%の23件は、飲酒運転だったことが判明しています。

このように電動キックボードは普及率が上がると同時に、改善すべき点も多くなっています。これから通勤や観光巡りで検討中の方は、事故の要因や罰則、具体的な安全対策が気になるでしょう。そこで本記事では、それらの具体的な情報を解説していきます。

1. 電動キックボードの普及と危険の考え方

短距離移動ツールとして普及しつつある電動キックボード。しかし便利さがある一方で、交通ルールの理解不足は事故のリスクに直結します。事故のリスクは、電動キックボード自体にあるわけではありません。ユーザーの行動と道路の交通量といった運用環境にあります。例えば典型的な事故の場面としては、交差点での左折の巻き込みや歩行者との接触、夜間の出会い頭、段差での転倒などがあります。こういった事故を発生させないためには、道路交通法への順法意識とリスク管理が大切です。

2. 危険が発生する要因とは

2-1. ユーザーの行動

2-1-1. ルールの認識不足

事故が発生する要因の一つが、ルールの認識不足です。よくあるのが、車道と歩道の区別の認識不足です。例えば電動キックボードは、原則歩道を走行できません。もし歩道を走行すると、道路交通法違反になります。また車道では、一番左側を走行する必要があります。しかし右側車線に入ってしまうユーザーが非常に多く、この点は要注意です。

2-1-2. スマートフォンを操作しながらの運転

現在特に問題になっているのが、「ながら運転」です。これはスマートフォンを操作しながら運転するという非常に危ない行為です。この走行中のスマホ操作は、道路交通法の違反になり、違反点数6点と罰金5万円以下の刑事罰が科せられます。しかも対人事故を起こした場合、過失運転致傷の重罪に問われる可能性もあります。

2-1-3. 酒気帯び運転

道路交通法では、自動車だけでなく、自転車や原動機付自転車を含む「車両」の運転者に対し、飲酒運転を禁止しています。電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に分類されるため、当然ながらこの法律の適用対象となります。例えば飲酒した状態で運転し事故等を引き起こした場合、自動車運転免許の停止処分が下されるリスクがあります。

2-2. 交通インフラ環境

電動キックボード 走行用道路

自転車用走行道路があるスペインバルセロナ

日本の現状としては、多くの地域で自転車レーンや軽車両用の走行環境が十分に整備されていません。そのため、車道と歩道の間で適切な走行位置を判断しにくい状況があります。その結果、電動キックボードで歩道を走行したり、車道で危険な運転をしたりするケースが増え、違反に繋がることがあります。

2-3. 車両の特性

最近は座れる電動キックボードが増えてきましたが、まだ大部分は立って乗るタイプです。このタイプは、初心者が慣れるまでは重心移動がスムーズにいかない場合もあります。また横道から急に人が飛び出してき場合、自転車のように急にハンドルを切るのは困難です。このように、多くのユーザーが電動キックボードという機体に慣れていないことが、運転技術に影響している可能性はあります。

3. 運用される法律

電動キックボード 処罰

3-1. 道路交通法

3-1-1. 電動キックボードに関連する道路交通法

道路交通法は、日本における交通の安全と円滑を確保するために定められた法律です。自動車や自転車、歩行者など道路を利用するすべての人に適用されます。目的は「交通事故の防止」と「公共の安全維持」であり、運転ルールや標識、違反時の罰則などを詳細に規定しています。特に近年は交通手段の多様化に伴い、新たに普及した電動キックボードについての規制が注目を集めています。2023年7月の改正道路交通法により、以下のルールが適用されるようになりました。

<電動キックボードに関連する道路交通法>
・運転免許不要(16歳以上であれば免許なしで運転可)
・最高速度20km/h以下で走行(歩道走行は6km/h以下で走行モード切替が必須)
・ヘルメット着用は努力義務
・飲酒運転の禁止
・夜間はライト点灯義務

3-1-2. 違反に対する処罰

道路交通法違反をした場合、電動キックボード利用者も他の車両と同様に処罰の対象となります。代表的な違反と罰則は以下の通りです。

<違反に対する処罰>
・無免許運転に該当するケース/基準を満たさない機体(ナンバーなし・保安部品不備など)を運転すると原動機付自転車扱いとなり、免許が必要。違反した場合は「無免許運転」として3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・飲酒運転/電動キックボードも飲酒運転は厳禁。5年以下の懲役または100万円以下の罰金
・信号無視・一時不停止/反則金の対象となり、場合によっては交通切符を切られる
・二人乗りや改造/安全性を欠く行為として道路交通法違反となり、罰金や事故時の重い責任が課せられる

3-1-3. 実際の摘発事例

<①飲酒運転/停車中のタクシーにお酒を飲んだ大学生が追突>
東京都豊島区の区道で、酒を飲んで電動キックボードを運転し、停車中のタクシーに追突した男子大学生が、道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑で書類送検された事例があります。呼気検査で基準値を超えるアルコールが検出されました。

<②救護義務違反/歩行者をはねた後立ち去る>
歩行者をはねて怪我を負わせ、救護せずにその場を立ち去った事例です。この女性は道路交通法違反(ひき逃げ)などの疑いで再逮捕されました。この女性が乗っていたのは、歩道走行ができない機種だったとのことです。

<③危険運転致傷/飲酒による危険運転致傷容疑>
飲酒した状態で電動キックボードを運転し横転、同乗者に重傷を負わせたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで男性が書類送検された事例があります。これは、電動キックボードの事故で、飲酒による危険運転致傷容疑での立件が全国で初めてとみられる事例でした。

<④危険運転致傷/飲酒による危険運転致傷容疑>
飲酒した状態で電動キックボードを運転し横転、同乗者に重傷を負わせた事件です。自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで男性が書類送検された事例があります。これは電動キックボードの事故で、飲酒による危険運転致傷容疑での立件が全国で初めてとみられる事例でした。

<⑤信号無視とひき逃げ/無免許運転>
無免許で電動キックボードを運転し、信号を無視して交差点に進入、横断中の歩行者と衝突して重傷を負わせた上、そのまま逃走したとして、男性がひき逃げ容疑で逮捕された事例があります。この男性が乗っていた電動キックボードは、免許が必要なタイプでした。

3-2. 道路運送車両法

道路運送車両法の保安基準は、灯火装置やブレーキ、反射器材等の保安基準適合性をチェックされます。また個人による電動キックボードの改造や改良は、違反に該当するリスクがあります。

4. 知っておきたい処罰や行政処分について

具体的な点数や反則金額、刑罰は改正や運用で変わる可能性があります。ここでは、代表的な類型と重さの目安を以下に記します。

<知っておきたい処罰や行政処分>
・信号無視・一時不停止・右側通行/反則金、違反点数の対象になる
・酒気帯び・酒酔い運転/刑事罰相当の重い処罰対象になり、免許保有者は免許停止や取消リスクがある
・ながら運転(携帯電話使用や注視)/反則金や点数、事故時は過失加重の可能性がある
・無灯火・整備不良/指導・反則。事故での過失割合不利や損害賠償増
・歩道の高速走行・歩行者妨害/検挙対象になり、事故時は重過失を問われる可能性がある
・保険未加入/法定義務の有無にかかわらず、賠償負担が甚大になるため、シェアリングは付帯保険の範囲を必ず確認が必要

5. まとめ

電動キックボードは、もはや社会で一定の認知を得たモビリティです。高齢化社会の到来とともに免許の返納も進み、自家用車以外の移動手段のニーズが高まっています。一方で正当な交通インフラとして受け入れてもらうためには、課題があるのも事実です。

本記事では、これから電動キックボードを検討されている方向けに、事前に知っておくと役立つ情報を解説しています。またリアルな事例も取り上げることで、その危険性も身近な現象としてイメージして頂けたと思います。

ぜひこういった情報を活用し、正しい電動キックボードの乗り方を実践して頂ければ幸いです。

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