2013年09月07日

20160222採用パンフ事例

入社1年目に、本格的な入社パンフを作るというのは非常に有難いことだった。受注が決まり、営業のSと最初の打ち合わせをする。

「予算は取った。とびっきりのを作ってくれ!」

確か、そんなザックリとした打ち合わせだったような気がする。今から思えば、これは散髪屋に行って「男前にして下さい!」というのと同じレベルだ(笑)。

当時媒体以外の商品は、原価率が設定されていた。当然受注金額が大きければ大きいほど、制作に使える金額も大きくなる。800万という受注金額は、新人にしてはかなり大きな金額だ。

Sの要望通り“とびっきりのを作る”ため、予算内で最高のスタッフ陣を用意することにした。

過去の受賞作品のクリエイティブスタッフの名前を調べ、同業種の作品も取り寄せて研究した。台割構成、コピー、デザイン、紙質、判型など、パンフのクオリティを構成する要素も調べ上げた。

熟考を重ね、上司のマネージャーにも相談し、コピーはベテランのYさん、デザインは実績豊富なH事務所、カメラマンは新進気鋭のSさんにお願いすることにした。ディレクションというものは、発注する側だからといって、コピーライターやデザイナーがそのまま動いてくれるわけではない。そこには必然性や合理性、想いというものが求められる。何よりもクライアントの課題に深く喰いこみ、成功イメージが持てるかどうかがキーになる。

今回のパンフレットの目的は、優秀な新卒学生を採用することだ。

スーパーという業種は、決して人気業種ではない。しかし、仕入れの面白さ、価格設定、独自商品の開発出店戦略など、やりがいのある仕事はいくらでもある。

そして何より、オーナーであるO社長の人間的魅力を伝えたい。一代で築き上げたそのパワーの根源は何なのか、これから入ってくる学生に何を期待しているのか。

そんな想いを膨らましながら、まずはコンセプトワークから入った。リクルートのパンフレットのキャッチコピー、「情報民主主義。」に惹かれた自分の原体験もあった。

「上位校で大企業志向の学生は、大手に行く。今回は中堅私大の地元志向で、野心に満ちた学生を狙う。そのためには、お上品な飾ったメッセージではなく、この流通の戦場模様をリアルに見せたい。それが面白いと思うセンスの学生が、この会社に貢献できる学生だ」

これが、私の考えだった。バブル末期の当時、どこの企業も採用活動には莫大なお金をかけていた。ただそこのメッセージは、綺麗な言葉の羅列でイメージに頼るものが多く、事実を語っているものは少なかった。

その数年前、住友銀行(当時)が強烈な金融の現場を明かした採用パンフを作成し、その時の新卒の応募者数は大幅に絞られたが、かなり優秀な学生が集まったという話を聞いていた影響もあったかも知れない。

ダイエーの中内氏が著した「流通革命」のように、この業界はいつも戦国時代だ。その覚悟、やり甲斐、社長の魅力を重ね合わせたコンセプトを考えた結果、以下のキャッチでいくことにした。

 

「成り上がる」

 

つづく