2018年04月14日

20180414start-up

 

今、新しい部門の立ち上げ案件をいくつか進めている。

これだけ世の中のテクノロジーの変化のスピードが早いと、自社の売上と利益を支える基幹事業が未来永劫安泰だと予測する経営者はほとんどいないだろう。日本を代表するモノ作り大企業のシャープ、ソニー、東芝でさえ、崩壊の危機に晒された。良い大学に進学し、就職すればほぼ安定的な生活を送れるという代表的な安定的コースだったメガバンクも、三菱、みずほ、三井住友に集約され、さらにフィンテックやブロックチェーンといったテクノロジーの波に順応することを強制されている。

こういった時代だからこそ、利益が出ているうちに、いくつかの新規事業を立ち上げ、分散型事業ポートフォリオを構築するニーズが経営現場で急速に高まっていると感じる。

 

◆出身大学より、新卒後に入った会社の方が現場での機能上重要

今までのキャリアで、営業部門を一から立ち上げる機会に3度恵まれた。新卒でリクルートに入社し働くと、自分の価値観や世界観はリクルート式になる。官庁に入れば、公務員式思考回路になるし、銀行に入れば銀行式思考回路になる。特に日本人は大学時代にインターンシップでいろんな企業の現場を経験する機会がまだまだ少ないので、体系的なビジネスを認識する初めての体験が新卒で入った最初の会社になるケースが多い。

つまり学校卒業後最初に入った会社のスタイルが、良い意味でも悪い意味でも、ある程度一生続く。これは、無視できない重要な事実だ。実は、ここに採用の重要なヒントがある。日本社会にはまだまだ学歴信仰が残っていて、特に「最初に入った組織でどんな結果を残したか」より「どこの大学を出たか」の方が見られる傾向が残っている。

しかし現場で機能するかどうかは、その人材の最初に入った会社の方が重要だと経験上感じている。卑俗な例で申し訳ないが、例えば東大を出て神奈川県庁に勤めていた人材と、日大を出て中小の専門商社で働いていた人材では、後者の方が現場で使えるケースが多い。ポイントは、“数字競争に晒されていた原体験があるかどうか”と“自らの頭で考え実行し、結果を出す経験値があるかどうか”だ。

ただ近い将来は、英語が話せてテクノロジーにも精通し、エリート層の人脈も持った人材が、席捲すると考えている。個性を育てる教育観のある家族、高校出身で、有名大学に進学し、インターンシップ経験や留学経験を積む。教育がしっかりして、かつ実力主義の大企業に新卒で入りビジネスの基本をマスターし、その後スタートアップ経験を積む。ファミリー人脈と学友人脈、最初の会社でのネットワークの情報網で、メディアに出る前のビジネスチャンスインサイダー情報を得るインフラを築きながら、自己責任行動での判断能力を磨く。日本社会は階層化が進んでいるというが、実態は階級化の固定化が進行している。地方と東京、高卒と大卒、私立と公立、留学経験の有無等で、世界が変わる。ロスチャイルドは「街に血が流れたら、投資の好機だ」と語ったが、平時においては個人のDNA、人格形成を行う出身家族、友達関係&情報網が決まる大学、ビジネススタイルの基礎が決まる最初の入社企業等で、かなりの部分が決まってしまうのが実情だ。

そういった背景を考慮に入れながら人材採用を行うとすれば、上記の視点でそのステージの組織へのリターン素材を総合的に多く持っている人材を採用すべきだ。

 

◆大手企業の昇進&昇給の遅さが、中小企業にとっては大チャンスという事実

優秀な人材の人生コースが変わってきた。国家上級試験を受けてキャリア官僚になっても、人生を満喫できるお金を手にできるのは退官し、天下りを渡り歩く60代。人生の4分の3が終わった後に大金を手にしても遅いとは言わないが、それまで待てないと思う人が増えているのは事実だ。しかも天下り&渡りへの世間の視線は、厳しくなってきている。

大手有名企業に入社できても、経営陣の判断ミスである日突然リストラの身に合うかも知れない。しかも課長になるまで早くて10年、部長まで20年、通常大企業の年収は真面目にコツコツ働いてようやく上昇カーブを描き始める。企業自体の栄枯盛衰がここまで激しくなった今、そこまで信じて待てるのかという問いかけに直面しているのが、正直なところではないだろうか。

実はここに、中小企業が優秀な人材を採用できるチャンスがある。結果に対しての無限のインセンティブ、20代での取締役も可能、子会社代表への道も用意、ストックオプション付与ありといった、知名度のなさをカバーする人事制度を用意すれば必ず反応する人材はいる。できれば代表か取締役に信頼感の高い大企業出身者がいて、ただの釣り広告ではないメッセージが伝わるとより理想だ。

そして何より重要なのは、仕事のヤリガイだ。できれば、強いサービス設計に関われる土俵を用意することだ。会社という殻を使ってお給料をもらいながら己の市場価値を高めることこそ、彼らの王道だからだ。言い換えれば20代から30代中盤までに、どんな企業からも欲しがられる実績を作るということだ。その後はそのまま会社に残って経営陣になるのも良いだろうし、ヘッドハンティングされて報酬を高めていきながら新たな知見を増やしていくのもいいだろう。

上記の典型的なパターンが、外資系コンサルティングファームだ。有名なマッキンゼーは、新卒で採るのは60名、その7割が東大院卒という超エリート集団だ。しかも入社して5年ぐらいは、9時に「この資料、昼までに仕上げといて」のノリで、猛烈に働かされる。午前2時まで働いて9時に出社のような生活で、体も精神も破綻する人材も多い。しかし一旦入れば、退職後の会社には全く困らない。ある意味、ビジネス版士官学校になっている。そのマッキンゼーの超エリートがする経験を、事業運営側でやれることを示すわけだ。日本のほとんどの学生が入れない外資系コンサルティングファームでの実務を、事業主体者として運営でき、実績を積めるというコンセプトは、大きな需要があることは間違いない。

そのためには、真のキャリア形成に重要な指標を洗い出し、その受け入れ体制を構築する必要がある。営業、Webマーケティング、情報システム、ファイナンスといったまさにMBAの科目を実務に落とし込み、実績に連動する権限委譲と報酬をコミットすれば必ず優秀な人材は獲得できる。あとは日本人の決定的な弱点である決断力のなさと周囲の嫉妬をどう回避するかだけだ(笑)。