2016年01月04日

20160103アマゾン

読売新聞 914万2753部 62万4968部↓
朝日新聞 680万9049部 70万7509部↓
毎日新聞 327万7062部 5万1657部↓
産経新聞 160万6021部 9395部↑

これは、2014年12月のABC(新聞雑誌部数公査機構)による発表数字だ。日本のマスコミを代表する大新聞の部数が、急激に減少しているのがわかる。特に朝日新聞の部数減少が顕著なのは、例の従軍慰安婦報道問題の影響と思われる。

しかもこの数字には、“押し紙”と呼ばれる配達されずに新聞販売店で保管される新聞の部数も含まれている。実部数は、おそらくこの70~80%ぐらいかも知れない。

情報価値と部数が新聞の広告価値を決めるが、その部数が不透明なまま、かつ正確な広告測定ができない状態で新聞社はスポンサーから広告料金を受け取ってきた。ところがYahooやGoogleといった無料のインターネットメディアが現れ、ユーザーの手元に直接新鮮な情報を配信し始めた。当然サービスは好評を博し、インターネット式の数値に基づく新広告料金体系が普及し始めると、新聞社の旧広告ビジネスは俄然旗色が悪くなってきた。

象徴的な事実がある。戦後初めて、電通の社長に新聞局以外の人間が就任したのだ。テレビが新聞の5倍稼いでいる現状においては遅きに失した感があるが、電通誕生の経緯、株主構成等、そこは簡単に割り切れない事情もあったと容易に想像される。

メディア業界における新聞の地位が落ちているのは、間違いない。

ただ、新聞社にはまだ優秀な人材がたくさん所属している。政府を筆頭に、各界へのコネクションも強い。そういった優位性を活かして、再起を図れる可能性はまだまだある。

そのヒントが、2015年12月23日の日経新聞の『名門紙再建 アマゾン流』という記事だ。

以下、ポイントを記す。

・アマゾンは、2013年約300億円でワシントン・ポストを買収
・アマゾンオーナーのジェフ・ペゾス氏は、潤沢な資金投入と引換にマーティン・バロン編集主幹に“メディアとしての成長戦略”を求めた
・バロン氏はすぐ専門チームを立ち上げ、新しいモバイルアプリの開発に着手
・上記のモバイルアプリは、ペゾス氏自らユーザーとしてテストを重ね、使いやすいものにした
・新社屋の7階と8階の編集局フロアには、映像報道用のスタジオやセットを4カ所に配置
・HUBと呼ばれる中心の吹き抜け空間には、電子版やニュース映像を流す21枚の大型モニターが取り囲むように並んでいる
・一番大きなスクリーンには、どの記事がどれだけ読まれているかといった電子版データがリアルタイムで表示されている
・4年前には4~5人しかいなかった編集局所属のソフトウェアエンジニアやデザイナーは、100人近くに増員した
・2015年9月から、全米5000万のアマゾン有料サービス会員にワシントン・ポスト電子版購読料(月10ドル)を6ヶ月間無料に
・インターネット視聴率分析会社コムスコアによると、2015年10月には訪問者数は6690万人でニューヨーク・タイムズを逆転
・コンテンツ管理や広告配信を他社に貸し出す新規事業も展開
・編集部の一角にはペゾス氏の「何が危険か。それは、進化しないことだ」の言葉が刻まれている

優れたコンテンツの生産システムとIT技術との融合―アマゾンのこの試みは、非常に興味深い。

顧客が望むサービスとは何なのか?

それをリーダーシップを持って把握・分析し、果敢に実行経営していく力が新聞業界には早急に求められている。