2013年12月25日

20160223コンペ受注

プレゼンテーションの前半は、新日鉄が採用したいターゲット学生にどう認識されているか、その生々しい現状分析についてお伝えした。

直接学生を目の前にして、辛辣なキーワードを投げられた先方の表情は硬かった。

しかし、学生達と議論を交わした内容には、自信があった。そこには、採用市場のニーズが満ち溢れていた。優秀な学生だからこそ、彼らのプライドをくすぐる仕掛けが必要なのだ。

現状認識の共有のあと、いよいよそれらを踏まえた企画の説明に入った。

『キミは何問解けるか!新日鉄クイズ』は、やはり学生が見るテレビ番組が話題になった。最近もイギリスのオックスフォード大学やケンブリッジ大学、アメリカのハーバード大学、イエール大学、マサチューセッツ工科大学、日本の東京大学、京都大学、大阪大学など、世界の優秀な大学生を集めてクイズの知識力を競う番組が好評を博したが、インテリの学生ほどそういった知力バトルが好きなもの。

イメージは、大学の研究室で暇つぶしに友達同志で新日鉄クイズの正解数を競うというもの。毎年かなりの学生が応募するので、ゲームっぽいものがあれば、友達に紹介するのではという期待もあった。当然、可愛い女性がナビゲーターで案内する演出だ。

『今、初めて明かされる!動画で見る新日鉄の現場』は、いわば動画による職場紹介だ。世間的には、この頃はもはや終身雇用制度は崩壊していたが、新日鉄ほどの大企業になると最後の保守の金字塔のような雰囲気もまだまだ根強い。だからこそ、現場の様子を踏まえた上での就職になることは、お互いのミスマッチを防ぎ、離職率の低下にもつながるはずだという想いが根底にあった。

『新日鉄は商社マンみたいなこともやっている!新日鉄版プロジェクトX』は、製鉄会社の知られざる側面を伝えたかった。トヨタを筆頭に、日本の自動車産業に車用の鋼板を供給するだけでなく、日本の高度な付加価値技術を活かした各種プラント事業は、まさに日本の真骨頂だと当時も感じていた。

今の総合商社が、モノを右から左へ流してサヤを稼ぐビジネスモデルから、独自のネットワークから得た有益な情報を活用する投資会社的側面が強くなっているように、“頭の良いビジネス”をしないと生き残れない時代になってきている。

逆に言うと、そういった知的フィールドをどんどん広報し、優秀な人材を獲得しないと、企業間競争において敗退する可能性が高くなる。かつてのように、「先輩が行ったから、僕もいきます」という大学と特定企業の就職のパイプはインターネットの出現によって急速に崩壊しつつある。

戦略的に設計された広報は、従来よりも重要になってきている。ターゲットを巻き込み、各種調査やアンケート用紙には現れない“市場の本音”こそ、ビジネスの源泉なのだ。

そういったことをアピールし、我々のプレゼンは終了した。

一週間後、先方の担当者から連絡が入った。

「御社にお願いしたいと思います。つきましては、早速打ち合わせをしたいので、来週のご都合を教えて頂けますでしょうか」

大手広告代理店のH堂もいる他社5社に勝ち、仕事を取った。どんな仕事にも、ハンディはある。しかし、本質を見極めれば勝機は必ずあると、この時学んだ。