2015年06月28日

画像

最近、オムニチャネルという言葉を耳することが多い。もともとオム二チャネルという言葉は小売りの進化系だが、採用活動に共通する部分も多いと感じている。

生活のあらゆるシーンでターゲット学生と接点を持ち、それを行動につなげ、囲い込んでいくという流れは、ツィッターやFacebookなどSNSの発達でよりスピーディになってきた。

◆ワードプレスの普及が採用担当の広報を変える

優れたワードプレスレスポンシブデザインが徐々に普及するにつれ、企業の採用活動における自社サイト構築の流れが加速している。

もちろん、大量に広告宣伝費をかけて登録者数も多いリクナビマイナビといったメガサイトの存在感が急速に薄れることはないだろう。

ただ、メガサイトに頼りきりというスタイルは一時代昔のものになりつつある。理由は、いくつか考えられる。

・メガサイトの出稿費用に対する割高感がある
・スマホの普及やSNSの発達により、学生へのアプローチ手法が多様化してきた
アクセス解析等の活用により、より効率的なキーワードアプローチが可能に
・HTMLがわからない人事担当者でも、ワードプレスでコンテンツ作成が可能に
・ワードプレス運用自社サイトは、説明会日程の変更や追加事項の表記などが早く処理できる

企業経営者にとっては、当然より低いコストで優秀な人材を確保できることが望ましい。しかも各種分析によって、採用成功に至る導線を明らかにし、年々改善を重ね打率を高めていくトレンドを実現できれば理想であることは間違いない。

しかも最近ワードプレスでもスタイリッシュなテンプレートデザインが登場し、採用活動の主戦場は自社の企画やコンテンツになりつつある。

◆自分の会社を、誰に、どう伝えるか

採用活動において、採用サイトは手段の1つに過ぎない。一番重要なことは、自社の強みをどう設定し、ターゲット層にどう伝えるかという設計部分だ。ポイントを、以下に記す。

・自社の強みと弱みを書き出してみる
・競合の採用スキームを書き出してみる
・差別化ポイントを明確にする
・優位性に基づく募集企画、募集チャネル、表現、選考プロセスを図式化する
・自社の社員、協力会社といったリソースと時間軸を紙に落とす

また、毎回面接者に「どういった経緯で知ったのか」をヒアリングすることで、自社のターゲット層がどのように就職活動で回遊しているのか把握し、採用戦略に役立てることだ。

各社が優秀な人材獲得のための近道を模索する動きは、優れたツールの進化とともに今後さらに加速するに違いない。

◆水面下で火花を散らす地上戦

7~8年近く前の話だ。誰もが知っている某有名企業の採用責任者が語っていた言葉が、印象的だった。

「これからは、優秀なプログラマーの争奪戦になります。東大、早慶、理科大、旧帝大クラスの優秀なプログラマーをどうやって採用するか。彼らが所属しているアキバ系サークルやコミュニティとつながりをを作ったりして、安定的な人材の獲得チャネルを構築するニーズが急速に高まっているんです」

その時テクノロジーの先進性が企業競争力に直結する時代の到来を感じたが、まさにその通りになった感がある。グリーDeNAサイバーエージェントドリコムなどは、色々工夫して優秀なプログラマー学生を採用している。リクルートは、アメリカで学生プログラミングコンテストを実施した。そこでは、MITやテキサス大学の学生が参加している。もはや採用ターゲットは、日本人に限らない。

ソースイメージ

自分もかつてインターンシップ企業で働いていた時、東大や東工大、早稲田、慶応他の研究室に直接足を運び、理工系学生のルート開拓に力を注いだ時期があった。具体的にはIBMやマイクロソフト、SONYなどに優秀な理系学生をインターンシップ生として送り込むため、電気・電子系を中心とした上位校の研究室一覧を作成した。そして各種イベントを企画・開催し、母集団を形成し、ルートを構築・拡大していった。鳥人間コンテストで優秀な成績を収めた東工大のマイスター特集は、今となっては良い思い出だ(笑)。

彼らは概して純粋で、自分の興味あることに関しては極めて熱心だ。報酬よりも、「社会の役に立ちたい」「自分の技術が生かせる」「仕事に打ち込みやすい環境」といった要素を重視する傾向がある。

彼らの興味・志向と企業のビジネスフレームをどうベストマッチングさせるか。採用した職種の仕事フローや、現場の社員インタビュー記事など、双方のニーズの落としどころの設計と数値検証こそが採用活動の醍醐味だと思う。

◆多チャンネル化する空中戦

景気回復と同時に中小企業の採用意欲も高まり、また一人平均23社エントリーする現在の就活構造にも変化の兆しが生まれつつある。ポイントは、それぞれの企業による採用目標達成への新たな手法だ。

以下に、最近のユニークな新卒採用手法を紹介したい。それぞれの企業のカラーを打ち出しながら、認知度を上手に高め、ターゲット学生の採用に成功している。TwitterFacebookというSNSにおける上手な拡散が、採用活動のパフォーマンスを左右する時代になった。

採用担当者は今後、SNS広報のプランナー的資質が求められるだろう。

◆採用担当者こそ一番優秀な人物に

使い古された言葉だが、「企業は人なり」である。そして、優秀な人材採用こそ企業の究極の成長エンジンだ。人間誰しも自分より優秀な人間の入社は怖がるものだが、そこから目を背けることは衰退につながることは自明の理だ。

リクルートが自社ビルにこだわったのは、創業者の不動産好きもあったが(笑)、博多支社を自社ビルにしたところ信用力が大幅に向上し、九州大学生が初めて採用できたというエピソードを聞いたことがある。それほど、優秀な人材採用に力を入れていた。

ドワンゴ

ドワンゴは応募者から受験料2525円を徴収!冷やかし応募大幅減で成功へ】

・徴収は一都三県の応募者に限定し、地方在住者は無料
・書類選考までにかかるコスト6000円を、ドワンゴと折半にするというもの
・受験料2525円の由来は社名のニコニコからで、会長の川上氏の発案
・受験料は全額寄付すると発表された(※昨年総額は約165万)
・この動きに対し、東京労働局から「職安法の報酬」の観点で行政指導があった
・受験者数は60%減少したが、応募者の質が大幅にアップし、採用人数も増加
(応募者数はエンジニアは約50%ダウン、企画者は約70%ダウンしたが、内定承諾者は25%UP)

焼肉イメージ

【焼肉を食べながら、学生の本音を】

就職支援会社アドヴァンテージ(横浜市)が2015年3月19日に大阪で実施
・参加企業は中小企業4社、学生は約20人
・学生は私服でOKで、履歴書は不要、支払いは参加企業の負担
・企業の参加目的は、打ち解けた雰囲気で学生の本当の人物像を把握したい

カヤック

【面白法人カヤックの独自採用手法】

1998年に設立され、2014年東証マザーズに上場したWeb制作会社面白法人カヤック。経営理念は、「つくる人を増やす」。

運営するコミュニティ事業には、絵画の測り売りオンラインショップや手仕事のギャラリー&マーケット、一人一文字みんなで作るフォントなどがある。また提供中のスマートフォン専用アプリには、「冒険クイズキングダム」、「ぼくらの甲子園!熱闘編」、「ポケット酪農~大蝦夷農業高校銀匙購買部」、「モンスターを集めてまいれ!」、「あつめて!ハローキティの恋するリボン」、「パンパカパンツのパンツハンター」、「仮病袋」、「うんこ演算」、「カギ穴カメラ」、「腕立てアプリ」などがある。

その採用手法は、ユニークさに溢れている。

・2009年/ブレストを体感できる『GE・N・KI玉面接』
・2010年/代々木体育館を貸しきり、ウルトラクイズ式新卒説明会を開催
・2011年/外国人積極採用開始!『日英中韓ウズべク語5カ国語同時通訳オンライン説明会』
・2012年/オリジナルバスで全国横断3,900km『旅する会社説明会』
・2013年/カンニングOK!私語OK!『第1回全国統一面白センター試験』
・2014&2015年/カヤック社員が秋葉原に大集合!『1社だけの説明会』

【会話型推理ゲーム人狼を使った人狼採用】

・ソーシャルゲームのイラストなどを手がける株式会社サーチフィールドが実施
・会話型推理ゲーム「人狼」を応募者と社員が一緒にプレイするスタイル
・リラックスした状態で、コミュニケーションを取るのが狙い
・ちなみにゲームで最後まで生き残っても、採用合格とはならない

【Made in Osakaはすごい!『世界一・日本一企業集まる!』】

世界一

・2015年3月5日、以下のハローワークが府内の21社を集めて合同で開催
→大阪新卒応援ハローワーク
→大阪わかものハローワーク
→大阪外国人雇用サービスセンター
→ハローワーク梅田
→ハローワーク布施
・参加学生は約500名
【参画企業一覧】
・動電型振動試験装置国内シェア50%/IMV株式会社
・路面電車製造国内NO.1シェア/アルナ車両株式会社
・霧の開発研究を行うオンリーワン企業/株式会社いけうち
・環境試験器世界NO.1/エスペック株式会社
・信号変換器国内NO.1シェア、生産台数世界NO.1/株式会社エム・システム技研
・世界初のマグネシウム合金加工・応用技術/木ノ本伸線株式会社
・世界トップクラスの光学技術/恵和株式会社
・OA精密部品業界トップシェア/下西技研工業株式会社
・関西配電盤業界トップクラス企業/株式会社下平電機製作所
・車輪・車軸製造日本NO.1/新日鐵住金株式会社交通産機品事業部製鋼所
ジルコ二ウム化合物の世界トップメーカー/第一稀元素化学工業株式会社
・日本唯一の産業用容器のメーカー/ダイカン株式会社
・水中ポンプのトップメーカー/株式会社鶴見製作所
・業務用アイロンのシェア70%/直本工業株式会社
LNG船舶用安全弁世界シェアNO.1/株式会社福井製作所
・世界初、日本初のアトラクション製造/豊永産業株式会社
・粉体処理機器の世界NO.1メーカー/ホソカワミクロン株式会社
・産業機器独自技術の宝庫/株式会社マイスターエンジニアリング
・テーブルクロスの国内シェアNO.1/明和グラビア株式会社
・調剤機器世界NO.1、国内NO.1/株式会社湯山製作所
・世界一の技術で食材を切る/吉泉産業株式会社

顔採用

【東急エージェンシーの顔採用】

・2016年新卒採用にて、東急エージェンシーがWEBサイトで顔採用をスタート
・顔分析システムの分析結果によって、就活支援特典に応募できるメリットがある
・せっかち顔には、エントリーシート設問を1週間先行公開(※抽選で10名)
・のんびり顔には、エントリーシート〆切に1週間のロスタイム(※抽選で10名)
・よくばり顔には、面接独り占め(※一次のグループ面接を1人で受けられる、抽選で10名)
・面接5分延長戦(※一次or二次面接で利用可、抽選で10名)
・こだわり顔には、面接官を写真で逆指名権(※一次面接で利用可、抽選で10名)

ふぐ採用

【東京一番フーズのふぐ採用】

・「とらふぐ亭」などを展開する東京一番フーズが、ふぐにちなんで29の新卒採用サイトを開設
・学生は、自分に一番合う採用サイトを選び、エントリーできる
・「ふぐ面接」…面接でふぐをおごってもらえる
・「ふぐ顔採用」…ふぐ顔に悪い人はいないという発想。
・「02:09採用」…午前または午後の2時9分にエントリーした人に、1000円分のクーポン券を進呈
・「ギョギョギョ採用」…魚を愛している就活生に、1000円分のクーポン券を進呈

チームラボ

チームラボ/卒業制作採用】

・ディレクター職採用に、卒業制作/卒業論文を2014年の新卒採用から開始
・規定の応募フォームから、氏名、連絡先、卒業制作(卒業論文)の3点を送る
・学歴、自己PR、志望動機は一切不問
チームラボ卒論採用
・募集職種例/カタリスト(ディレクター)職とは
→WEBサイト・アプリ・サイネージなどの企画・提案からスケジュール管理など
→具体的な仕事内容
○要件定義
○ドキュメント制作
○提案書、画面仕様書(※サイトの規模によっては、10枚~数百枚に及ぶことも)
○スケジュール表
○画面一覧表、画面遷移図
○進行・品質管理
○簡単な図面
○デザインディレクション他

ドリコム スタートアップボーディング

【ドリコム/入社してすぐ資本3000万で起業せよ】

・ドリコムは、ソーシャルゲームアプリの開発をメインで行っている
・10年前に、京都大学初の学生ベンチャーとして誕生
・インターネットの世界で、新しい価値を生み出す熱意ある学生が欲しい
・2013年の新卒採用より、「スタートアップ ボーディング」を開始
→ドリコムのグループ会社として、新規法人を立ち上げる
→選考通過者は、新規法人の創業メンバーとして参画できる
→ドリコムは、資本金3000万を提供する
→サービス企画、開発ノウハウをフィードバックする

就活リアル脱出ゲーム

【ドリコム採用イベント/~知られざる迷宮からの脱出~】

・2012年新卒採用の一環として実施
・コンセプトは、「未来に起こることは謎だらけで、だから面白い」
・リアル脱出ゲームとは、参加者自身が謎を解いてある場所からの脱出を目指すゲーム
・部屋に閉じ込められ、仲間と協力しながら、制限時間内に脱出の鍵を獲得する
・総勢1200名が参加

DeNA

DeNAの採用手法/社員紹介が会社の再評価につながる】

・DeNAの採用担当者は、経営者と一緒に組織図を考える作業を日々行っている
・座席も、経営のボードメンバーに近い場所にある
・ボードメンバーの考え方を、求職者に伝えやすい
・採用手法の中では、社員紹介の比率が高い
・一緒にランチをしたり、食事をするというスタイルが多い
・紹介した社員も再度自分の会社を見つめ直し、モチベーションがUPする
・女性の場合、“何をするか”も重要だが、“誰と仕事をするか”も重要
・女性の場合、“自分にどれだけエネルギーを注いでくれたか”実感したい
・優秀なエンジニアは、報酬よりも最新のテクノロジーに触れたい欲求が強い

三幸製菓

三幸製菓/日本一短いエントリーシート】

・人材採用の重要性を意識したのは、売上が300億を突破した2006年から
・当時はパンフレットも作れないほどの採用予算だった
・2009年学生向け調査で認知度は25%、食品メーカーとしては低かった
・認知度を高めるために、イメージカラーを赤に統一
・会社説明会ではアグレッシブなプレゼンをし、パンフは巻物風に
・2010年にはテレビCMも開始し、認知度は60%までUPした
・大量応募、大量選考の効率の悪さに疑問を抱くようになった
・2013年採用から就活ナビを中止し、Facebookでの採用広報をスタート
・上記の手法で全国から優秀な学生が採用できたが、同質性という課題も
・いろんなタイプの学生を採用するカフェテリア採用を実施
→ニイガタ採用…新潟が大好きという学生
→出前全員面接会…学生が採用面接官と連絡を取り、5人集めて会場も準備
・就活ナビ時代はエントリー数は1万、現在は1000名前後だが質は高い
・東北大や九州大、関西学院大など全国の有名大学から応募
・台湾のトップクラスの大学出身者が、大手電機メーカーを蹴って入社

SONY

ソニー・ミュージックエンタテインメント/動画自己制作PR】

・2013年の新卒採用で、動画作品採用を開始
・メッセージは以下の通り
短くてもいい。あなたの声で、あなたの笑顔で、あなた自身を伝えてほしい
・「学生時代に夢中になったこと」他、4項目の質問に答える必要がある

星野リゾート新卒採用

星野リゾート/禁煙採用】

・キッカケは、大番頭的立場だったヘビースモーカー社員の死
・禁煙採用の目的は、以下の3つ
→喫煙によって生じる健康リスクを低減する
→喫煙をやめることで、作業効率と生産性を向上させる
→喫煙環境を廃止することで、新たなスペースを確保できる
・法律的には、問題はない

マッキンゼー求人広告

【マッキンゼー/効果を上げた求人広告】

マッキンゼー・アンド・カンパニーは、世界的なコンサルティング企業
・世界の主要企業相手に、年間1600件以上の案件を手がけている
・設備を持たないマッキンゼーの成長を支えるのは、優秀な人材
・マッキンゼーのスイス支局は、画像の求人広告を作成
・長い消しゴム付の鉛筆には、以下の言葉が書かれている
「どんな解決方法にも満足しない学生を募集中」
・長い消しゴムは、解決策にとことんこだわる姿勢を表している
・この求人広告は話題となり、入り込めなかった大学での認知度がUPした

リクルート

【リクルートホールディングス/RECRUIT革命】

・2016年度新卒Web採用サイト
・テーマは、「テクノロジーで世界を動かす」
・リクルートグループを挙げて、Webビジネスを推進していく
・グループを横断したWeb職種に限定した採用を実施
・新卒Web採用からの配属予定企業
株式会社リクルートホールディングス
株式会社リクルートキャリア
株式会社リクルートジョブス
株式会社リクルート住まいカンパニー
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
株式会社リクルートライフスタイル
株式会社リクルートテクノロジーズ
indeed

BBDO

【広告会社BBDOドイツ支社/コピーライター募集広告】

・ターゲットは、大学の文学部学生
・大学の食堂に置かれている紙ナプキンを、交渉して特殊加工のものと交換
・学生が手に取ると、有名なコピーライターの就職物語と就職ノウハウが表示
・多くの学生が、ランチを食べながらこのストーリーを読み込んだ
・結果、多くの優秀な文学部生がBBDOのコピーライター職に応募

求人広告

【歴史的に有名な南極探検隊の求人広告】

・1900年、ロンドン新聞に掲載された求人広告
・募集主は、イギリスの探検家アーネスト・シャクルトン(※当時26歳)
・アーネスト・シャクルトンは、過去の南極探検の功績でナイトの称号を授与されていた
・英文で3行のこの広告には、15歳の少年を含め5000人の応募があった

ちなみに、東洋経済新聞社が発表した2016年卒業生が選ぶ就職先企業人気ランキングは以下の通り。

1、三菱東京UFJ銀行
2、全日本空輸(ANA)
3、JTBグループ
4、みずほフィナンシャルグループ
5、明治グループ(明治、Meiji Seikaファルマ)
6、丸紅
7、野村證券
8、大和証券グループ
9、損保ジャパン日本興亜
10、日本生命保険
11、三井住友銀行
12、日本航空(JAL)
13、三菱商事
14、ロッテグループ
15、大日本印刷
16、SMBC日興証券
17、三菱UFJ信託銀行
18、旭化成グループ
19、第一生命保険
20、集英社