2014年11月18日

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今回は、外資系コンサルティング企業の企画書事例第二弾。

今回は、ローランド・ベルガー制作の経済産業省向け「クリエイティブ産業 海外展開に向けた調査報告書」だ。

ローランド・ベルガーは、ドイツのミュンヘンを本拠地とするヨーロッパ最大の経営戦略企業。創業者のローランド・ベルガーは、シュレーダー首相の経済相要請を断ったものの、側近として7年間アドバイザリーを務めた。彼は、ヨーロッパ最高峰のビジネススクールINSEADのボードメンバーも務めている。

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日本では、東京オフィスが1991年に設立。現会長の遠藤功氏が社長に就任した2000年以降に急拡大し、「動く戦略」を追求し「現場感」「手触り感」「膝詰め議論」を大切にする姿勢は高い評価を受けている。

今回のパワーポイントデザインは、日本のクールジャパン戦略を推進するための判断材料的なものだが、膨大な市場調査とそこから導かれる洞察はさすが!国家戦略を支える情報収集フェーズに、コンサルティング企業が果たしている役割と機能を理解するには好事例だと思う。

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◆表紙/意外とシンプル(笑)

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◆エグゼクティブサマリー/「各国政府、国際研究機関、研究者によって実施された先行研究と関係者へのヒアリングを通じて、『ポケモン』『料理の鉄人』『おしん』の成功ポイントを抽出」とあるが、この“関係者へのヒアリング能力”が非常に重要だと思われる。

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◆Contents/目次ページ。これは全体ボリュームが、127ページもある壮大な資料

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◆海外展開事例分析のアプローチ/非常に興味深い。マネタイズのステージというゾーンにコラボ商品が入っている点も見逃せない。

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◆コンテンツの海外展開事例分析 KSFサマリー/「国レベルの文化交流・規制緩和の働きかけ」「コンテンツ管理体制の一元化」「シナリオ全体として投資回収を実現するスキーム」等、興味深い項目が並ぶ。ポケモンは米国展開では米国任天堂にライセンスを一元化し、実行権利も集約化することで現地メディアの掌握に成功というコメントは、非常に奥深い。

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◆事例①:おしん/おしんの3つの成功要因である①放送権料の無償提供スキーム②コンテンツ自体の使いやすさ③コンテンツに対する文化・経済的な親和性は、今の時代にも通用する普遍性だ。

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◆事例④:韓国のコンテンツ海外展開/韓国がコンテンツ産業を重要戦略輸出品目として推進しているのは有名な話だが、「4か所の振興院海外事務所による現地情報の提供」「海外進出コンサルティング」「市場リサーチの実施」の各論が明記されているのは、面白い。

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◆参考:風雲!たけし城/風雲!たけし城が米国の大手ケーブルネットワークとイギリスで違ったタイトルで販売実績があるのは興味深い。オリジナルに英語の字幕と米国人によるコメントを入れているあたりがにくい。

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◆ヒアリング・サマリー/今後活用が見込まれるコンテンツで、「種類に関わらず、コンテンツ自体で儲けるビジネスではなく、プロモーションツールと割り切って利用する発想も重要」という指摘は鋭い。また海外でのコンテンツ・メディア利用における懸念点で、日本コンテンツの権利料や翻訳費などのコストが高い上、権利関係の処理が複雑で、活用にあたっての障害となっているというくだりは、悩ましい日本のコンテンツビジネスの問題点だと思う。

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◆コンテンツ普及と他産業波及の構造的問題/戦略・シナリオ部分の「展開が場当たり的」「メディアミックスが不十分」「展開スピードが遅い」という指摘は、あらゆるビジネスに当てはまる重要ポイントだ。

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◆主要各国・地域の市場分析とミドルリストへの絞り込み―アプローチ/日系コンテンツへの受容性・普及状況という項目が、戦略的輸出品目としてのクールジャパンへの期待が伺える。

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◆1、コンテンツ産業の市場規模・成長性/中国・インド・ロシアが、コンテンツ市場の伸びしろのあるTOP3の国だ。

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◆他産業普及も見据えた展開シナリオとそれを支えるKSF/成功のための、多様なプレイヤーを巻き込んだ中長期シナリオ策定やオーケストレーション機能(自立制御)の担保という指摘は重厚だ。海外のプロの招聘、政府による専門家育成の環境作り(学校、教育プログラム等)、補助制度等必要になってくるのではないだろうか。

さすがに重厚で、説得力に満ちた企画書構成だ。こういった企画書が、政府の政策決定に大きな影響を与えているとするならば、興味も尽きない。