2014年10月17日

20160303KADOKAWAとドワンゴ統合

20141017KADOKAWAとドワンゴの合体1

先週の週刊文春の池上彰さんの連載「池上彰のそこからですか!?」に、KADOKAWAとドワンゴの統合の理由についての見解が掲載されていた。

昨日リクルートが上場し、時価総額は1兆9千億円に達した。市場から調達した莫大な資金をもとに、Googleのようにシナジーを生む企業をどんどん買収していくだろう。

20141017代3

KADOKAWAとドワンゴの統合、リクルートの上場も、本質的にはメディアビジネスのプラットフォームの覇権争いの象徴だと感じている。

より競争力を高め、軍資金をもとに攻める。購買率が70%まで減少しつつある新聞業界は、かつての繊維業界と同じく凋落していくのか。

◆カドカワとドワンゴ合体

今月一日、KADOKAWAとドワンゴが経営統合しました。両社が持ち株会社「KADOKAWA・DWANGO」を設立。両社がともに持ち株会社の下になりました。

という話をしても、この意味のわかる人が、さて、どれくらいいるのやら。というのも、KADOKAWAとは、角川文庫で知られた地味なイメージの角川書店が発展したものであることを、ネット世代の若者は知らないでしょうし、角川文庫に慣れ親しんだ世代には、ドワンゴと言われてもピンと来ないのではないかと思うからです。両方の世代に理解してもらう解説になるかどうか。

角川書店を母体とする角川グループは去年、社名をKADOKAWAに変更しました。

KADOKAWAには、角川書店ばかりでなく、角川学芸出版、アスキー・メディアワークス、富士見書房、メディアファクトリー、新人物往来社を吸収した中経出版、角川マガジンズ等々、多数の出版社が統合されました。これらの出版社は、いずれも角川グループの一員ではありましたが、それぞれ独立した会社として事業を続けてきました。出版事業ばかりではありませんね。角川映画も統合されました。統合された後は、定着したブランド名は残すという社内分社の形を取っていました。
 
この統合で、私が仕事をしてきた三社の出版社の人たちが、同じKADOKAWA社員になりました。仕事も統合されるかと思いきや、ブランド名は存続するので、それぞれの社との仕事も継続になりましたが。

20141017代2

でも、なぜ、こんな統合を実施したのか。これまで疑問に思っていたのですが、ドワンゴとの経営統合と聞いて、そのための準備であったのかと合点しました。

では、ドワンゴとは、どんな会社か。「ニコニコ動画」を運営している会社といえば、わかる人も多いことでしょう。

もともとアメリカのオンラインゲームの会社名だったのですが、日本での事業展開を引き受けていた会社が倒産し、そこで働いていた川上量生氏らが株式会社ドワンゴを設立したのが始まりです。
 
携帯電話用のゲームや着信メロディの開発などを通じて経営を拡大し、2007年には子会社のニワンゴが「ニコニコ動画」を開始。日本最大の動画サービスを提供するまでに成長しました。

利用者は、自分たちで制作した動画などを投稿できたり、人気コミックを電子書籍で読めたり、生放送を楽しんだりできます。

ニコニコ動画の生放送といえば、前回の参議院選挙の際、各党首の討論会をネット中継するなど、政治の世界にまで大きな影響力を持つようになりました。

と言ってもピンと来ない方は、ネットで中継される画面に、見ている人が書き込んだ文字が右から左へと目まぐるしく流れていく様子を見たことがありませんか。見ている人も一緒になって作っているという参加感が人気です。

◆コンテンツとプラットフォーム

とまあ、両社を紹介してきましたが、両社が合体して、何が起きるのか。これを理解するのが、旧世代には至難の業かも。一言で言えば、コンテンツとプラットフォームの融合により、新時代を勝ち抜こうという戦略なのです。

またまたカタカナ言葉の氾濫です。これではわかりませんね。 

コンテンツとは、内容のこと。KADOKAWAは、多数の書籍や雑誌、映画などの作品群を擁しています。一方、ドワンゴは、ニコニコ動画のように、ネットを使って、パソコンやスマートフォンに動画を配信する技術を持っています。これが融合すれば鬼に金棒というわけです。

たとえば一般の出版社は、ネット販売業者のアマゾンを通じて書籍を販売する際、電子書籍に関しては、強い力を持つに至ったアマゾンに値段を決められたり、値引きさせられたりすることが起きます。

この場合、出版社はコンテンツ制作者で、アマゾンは配信ネットワークというプラットフォームを持っています。コンテンツを持っているだけでは、プラットフォームを持つ会社の言いなりになりかねない。これがKADOKAWAの危機感です。

一方、情報を発信するヤフーのような企業は、基本的にはコンテンツを自ら作成することはありません。魅力的なコンテンツを作り出すことができなければ、将来的には先細りになりかねないという危機意識が、ドワンゴの側にありました。

両者が合体すると、KADOKAWAの編集者とドワンゴの技術者が一緒になって作品を作り、全国の書店に書籍の形で流通させるのはKADOKAWA、動画の形で配信するのはドワンゴという役割分担が可能になります。KADOKAWAが映画を製作、ドワンゴが配信するパターンも出て来るかも知れません。

現在の電子書籍は、文字をパソコンやタブレットでも読める、という程度のものに留まっています。両社が融合することで、電子書籍の中の絵が動き、ドラマが展開する、という方法も可能でしょう。

ドワンゴの技術で双方向性を確保できたら、電子書籍の内容を読者が書き換えていく、などということも可能になるかも知れません。
 
現在は両者の将来像が漠然としていますが、裏を返せば、それだけ可能性があるということ。

KADOKAWAの角川歴彦氏は、ドワンゴの天才的経営者・川上量生氏に、そんな可能性を見出したのでしょう。新たに設立された持ち株会社の会長には、なんと川上氏が就任したのです。社長は、角川氏を支えてきたKADOKAWAの佐藤辰男氏。角川氏は相談役に回ります。ドワンゴの川上氏をトップに持って来るところが、角川氏の並々ならぬ意欲を感じさせます。
 
さて、出版界には、どんな未来があるのか。そのとき、文蓼春秋は、どんな立ち位置にいるのでしょう。