2013年09月15日

20160223ホテル部屋

実は、面接企業にジャニーズ事務所を入れようと思ったのは、メンバーの中にジャニーズ系の男がいたからだ。南山大学出身のMはイケメンで、ジャニーズ志望生としてはハマり役だった。

逆に言うと、Mのキャスティングを活かすことから、ジャニーズ事務所が連想されたとも言える。

当時は渋カジファッションが流行っており、ジャニーズ事務所志望の大学生を演じる小道具が欲しいと思った。そこでメンバーと一緒に、スタッフ部屋に陳情に行った。

「すいません!明日の宴会芸で、どうしても必要な小道具があるんです。購入をお願いします!」

「こんなこと言ってくるのは、お前らだけだよ。しょうがないな。3000円までな。領収書もらってきといて」

「ありがとうございます!」

押しの一手でOKをもらった我々は、ホテルの1階にある土産物売り場に向かった。渋カジをイメージさせるバンダナっぽいもの必死で探したが、商品の9割は魚の干物やまんじゅうだった。ようやく見つけたのは、リカちゃん人形セット(笑)。そのハンカチをバンダナとして使うためだが、あまりに小さく後で結ぶのに苦労した。

そのストーリーは、田舎から出てきたアイドル志望の若者がジャニーズ事務所の門を叩く。すると中から出てきた社長が、面接をする。

「You、ちょっと踊ってみて」

あの方の独特な甘い口調で囁き、まずは軽くダンスをさせる。次にボイスチェックをし、最後に首筋を小指でなぜ回す。その瞬間、少年がビクッと反応し、その反応の敏感さで合格するという非常に際どい内容だった(笑)。

最後は、陸上自衛隊の面接シーンだ。

メンバーの中で一番筋肉質で毛深い名大生Iが、その重責を担った。Iには、全裸にワンサイズ小さめなグンゼ製白ブリーフ(※これも新たに購入)をはかせた。サイズを小さめにしたのは、勿論シルエットを強調するためだ。当時流行っていたブルータスのボディビルのポーズを取りながら、無言で面接官に近づいていく。面接官の顔先まで近づいた後後転し、決めのポーズを決める。その瞬間、面接官が「合格!」と最後に叫ぶというオチだ。

これら5つのシーンを、夜中の3時まで全員で練習した。演技指導は、自分の役割だ。

下町のメッキ工場のオーナーは、ランニングシャツ姿で高校野球を見ているイメージ。その後ろでは、奥さんがホコリをはたいている。面接にきた学生がドアを開けるシーンは、ドアが木製の引き戸であることを見ている人間にわからせるためにちょっと引っかかるようにする。ジャニーズ事務所社長役は、小指を立てながら、足も内股に。そんな細部にまでこだわって、イメージ通りになるまで何回も繰り返した。

特に注力したのが、最後の陸上自衛隊のコントだ。ここはチャップリンサイレント映画ばりに、ほぼ台詞なしでいった。その分、テンポと間の取り方が重要になってくる。応募者と面接官の間の張り詰めた空気、応募者のポーズの完成度、それに呼応する面接官。音が一切ない中で進行することで、変化を生んだのは間違いない。

コント終了後拍手喝采が起き、審査員は全員満点を表示した。我々は優勝し、無事リベンジを果たした。そして、全員優勝商品のコンパクトカメラを受け取った。

10年以上経った同期会で、「あの時のコントは凄かったな」と言われたことがある。その時、入社式で当時就職ジャーナルの編集長だったNさんの「記録ではなく、記憶に残る広告を目指して欲しい」という台詞が蘇ってきたのを覚えている。