2013年09月14日

20160223宴会イメージ

次の戦いの場は、夜の宴会芸だった。

リクルートには、伝統的に宴会芸文化がある。歓送迎会は勿論、営業朝会で笑いの一つでも取れないと、一人前とはみなされない。“人を笑かすことのできる奴”は、“デキル奴”と同義語なのだ。

東工大出身の同期Uは、和田アキ子のモノマネが十八番。学生時代にコミックバンドで活動していた彼は、出演の依頼がある度に、衣装を買いに銀座博品館に走った。立教出身の同期Tの芸、月光仮面はもはや伝説だ。体育会剣道部で鍛え上げられた肉体が、手拍子に合わせて百変化する。慶応出身の同期Yは、体育会スキー部主将出身。彼の肉体芸の人間打楽器は、カラオケボックスの窓を曇らせるほどのパワーだ。それらは当然、女性には見せれない内容だ。

精鋭を集めればルミネtheよしもとに勝てるんじゃないかというそのレベルは、夜の銀座でも威力を発揮した。ある雑誌での『合コンしたい企業ランキング』でリクルートが上位にくい込んだ背景には、そういった匠の技があったからだと今でも信じている。

ちなみにイギリス紳士の条件の一つはユーモアのセンスと言われているが、週刊新潮での人気連載企画『藤原正彦菅見妄語』で面白い指摘があった。

「先日、スコットランドの大学にいる息子から電話があった。12月の当地は朝10時に陽が出て昼の3時には沈んでしまうと言った。みぞれや雪が降っていなければ、この5時間のあいだに外を歩いたりジョギングをすると言う。

さぞ気が塞いでいるかと思ったら、そうでもなさそうだった。先日の教室である教授が胸を張って、次のように語ったらしい。

“スコットランドには、『古い大学』(中世に創設された大学)が4つある。エディンバラグラスコーセント・アンドリュース、アバティーンだ。一方、イングランドにはたった2つしかない”。

院生達は、大爆笑したという。イングランドの2つとは、無論ケンブリッジオックスフォードという超一流だからだ。これは威張ったように見せて、実は自分を笑いとばすというイギリスのユーモアの一典型である。(※中略)

ケンブリッジ大学にいた頃、同僚のある数学者に“英国紳士であるための最重要条件は何か”と聞いた。彼は少し考えてから、“ユーモアだ”と断言した。

出自、マナー、教養、気品などかなと思っていた意表をつかれた。数学では天才的だが、歩いていて時々スキップするという男だったから、他の人々にも確かめてみようと思った私は、それ以降一定の地位にある学者、政治家、経済人など30名ほどの英国紳士にこの話をし、意見を聞いてみた。

皆が異口同音に、賛意を表した。ユーモアがないと、どんな地位や経歴や財産があっても、紳士とみなされないという。一定レベル以上の人々には、まともな相手と見なされないということだ。程度の差こそあれ広く欧米ではそうだから、政治家や外交官に限らず欧米人と折衝にあたる人々はユーモアを心がけることだ。オバマであろうとプーチンであろうと、笑わせてしまえば勝ちなのだ。一気に心が通じ合う」

“笑わせてしまえば、勝ちなのだ”―まさに、その言葉を実感する時がやってきた。