2014年07月14日

20160303おちまさと

おちまさと氏 プレゼン極意

どんな業界にも、“名プレイヤー”と呼ばれる人がいる。

その業界の人々の間で名を知られ、その手法や人柄、仕事へのスタンスが一目置かれる存在になっている人のことだ。

広告・広報関係者に広く読まれている雑誌『販促会議』に、プロデューサーのおち・まさと氏のインタビュー記事が掲載されていた。

おち氏は数多くのテレビ番組やインターネットサイト、書籍から企業ブランディングや広告などの企画・演出・製作をはじめ、オールラウンド・プロデューサーとして活躍。その極意を、以下紹介したい。

企画は未来予知!一緒に組みたくなる企画脳の鍛え方
プロデューサー/おちまさと氏

「面白そうな企画」「一緒にやりたい」とクライアントに感じてもらうために、プランナーはどう考え、動くべきだろうか。企画の立て方と、その伝え方の秘訣について、プロデューサーのおちまさと氏に話を聞いた。

◆企画のパーツとなる“記憶”を蓄積せよ

―普段、企画はどのように考案しているのでしょうか。

プランニングは雲をつかむような仕事ですが、解析すると、それは記憶と記憶の複合に過ぎないことが分かります。アイデアは思い付くのではなく、思い出すもの。結局は、記憶のパーツ選びなので、記憶自体が隣の人と同じだと、いくら記憶を結合しても面白い企画は生まれません。

日常生活の中で意識的に人と違う視点でものを見て、そこから「妄想」を広げて記憶を蓄積したり、新たな発想を展開してみることを、僕は「何気の臨戦態勢」と言っていま載このような日々の自己鍛錬がアイデアを生み出す「企画脳」を鍛えていきます。

記憶の組み合わせは、爆発的な化学反応を起こすものでなければ意味がありません。

あり得ない組み合わせをつくることが一番重要なので、雑誌などを見て企画するのは論外。また、企画とは未来予知をすることですから、常に未来を見据えて行動する必要があります。

プランニングは、まず結果を策定してから、それを実現するために必要なものを逆算していきます。僕はよく、プロジェクトが成功して、マスコミから取材を受けている時の状況を頭の中で妄想します。自分がプロジェクトをどんな意図で行ったのか、それを実現するためにどんな策をとったのか、記者を相手に話している様子を思い浮かべてみるのです。

すると、妄想の中の自分が、良いことを言っていたりするんですね。こうした妄想によって、必要な人材が見定まり、その人たちを巻き込むためのアプローチ方法も見えてきます。

―企画をより良い内容にブラッシュアップしていくには、どうしたら良いでしょうか。
 
ヒットを生む企画をつくるには、「ポジィブプランニング」と「ネガティブシミュレーション」を繰り返し、企画を精査していくことが重要です。発想する際はポジティブに考えて、それを徹底的にネガティブに検証する。さっきポジティブに発想した企画を、1秒後には、なんてひどい企画なんだと、客観的にナイフを切り込み、いかに自分に対して冷酷になれるかがポイントです。

一つの成功パターンをずっと追い続ける人がいますが、クリエイターも企画も「振り幅」がなくてはだめだと思います。

サーフィンと一緒で、その時に上手く波に乗れたとしても、次にまたそこに良い波が来るとは限りません。どこに波が来そうか見極めながら、新たな分野に挑戦していくことが大事です。ヒットの法則はないですが、世の中でヒットしたものを並べてみると共通項があります。

それが「ありそうでなかった」というキーワードです。ありそうであるアイデアはもう駄目で、なさそうでないものはない方がいい。誰でも思い付きそうだけど今までなかった、という企画を精査していくことが重要です。

◆周囲を巻き込むのは、合気道に似ている

―プレイヤーを集めたり、プレゼンをする際に何を心掛けるべきでしょうか。

人を巻き込んでいく過程は、合気道に似ていると思います。相手の力を利用したり、そこに無理強い感が働かないような空気をつくるのです。するといつの間にか企画に導かれて皆が集まり、気が付いたら自然とそのプロジェクトがものすごい勢いで回り出しています。ですから、初動の際の土台が大事です。僕はプロジェクトがうまく回るように、よくルールづくりを行います。

日本人は特にルールに弱いところがあって、ルールを設定すると、すぐ了解して参加してくれるものです。

また、プレゼンでは、お互いにどれだけ本気で尊敬し合えるかで結果が変わってしまいます。ある意味闘いのような本気度と、緊張感が大切で手ごわい相手ほど、実はプロジェクトがうまくいくケースが多い。自分で刺せないネガティブシミュレーションのナイフを刺してほしいのに、肩透かしにあうと、緊張感がなくなり裸の王様的な企画になってしまうからです。「緊張はしないが、緊張感を持つ」ことが、大切だと思います。

これまでお話したすべての作業は、実は同時に進行させていかなければなりません。バケツリレーのように一つひとつ順番に考えた企画は、どうやって思い付いたかもすぐ分かってしまいます。全体を把握しながら全作業を並行して行っていくうちに、必ず壁に突き当たりますが、そこを突破できると成功が見えてくるでしょう。

―現在、企画の仕事に携わっている人にメッセージをお願いします。

どこにも10割打者なんていません。3割5分打てれば、イチローさんになれるので大切なのは、企画が失敗したときの反省を経験値として蓄積し、次の企画に生かすこと。プライドは捨てて、成功することを最優先するべきです。

僕がいつも心に留めているのは、「進化のある継続は力なり」という言葉。

長い時間を掛けて取り組みながら、ちゃんと進化していることをいつも目指しています。また、振り幅を持ちつつも自分の中での中心軸を据えることです。一言でいうと「背骨を持て」ということです。時代が変わって肉付けを変えるのは良いのですが、背骨だけは貫かないと、ゼロからの出発になって、進化のある継続も得られません。

後は、“チャンスは貯金できるものではない”と認識しておくべきです。「何気の臨戦態勢」によって、日々アンテナを張りつつ、チャンスがやってきたら逃さないように瞬時につかむことが重要だと思います。